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新/006/暗殺・瞬殺

本日二話同時投稿


すみません。装備表示を変えます。

気分的に見難いので。

《equipment/protector


西園寺製・特殊戦闘礼服:[制限:LL][性能:DEF・10][耐性:斬撃・Ⅲ/雷・Ⅲ/炎・Ⅲ][状態:良][耐久度:5]

rank:[D++]


西園寺製・特殊グローブ:[制限:LL][性能:DEF・15/ATT・15][判定:殴打][耐性:殴打・Ⅲ/斬撃・Ⅲ/雷・Ⅲ/炎・Ⅲ][状態:良][耐久度:5]

rank:[D+]


西園寺製・特殊インナープロテクター:[制限:STR・3以上/LL][性能:DEF・20][刺突・Ⅳ/殴打・Ⅳ/斬撃・Ⅳ][特殊:隠蔽着用][状態:良][耐久度:6]

rank:[C]


西園寺製・特殊革靴:[制限:27㎝][性能:DEF・15/ATT・10][判定:殴打][耐性:殴打・Ⅲ/雷・Ⅴ][特殊:脚部負担軽減][状態:良][耐久度:5]

rank:[D+]


 equipment/weapon


サバイバルナイフ・[制限:無し][性能:ATT・15][判定:斬撃/刺突][耐久度:4][状態:良]

rank:[F]


スローイングダガー:[制限:無し][性能:ATT・10][判定:斬撃/刺突][耐久度:3][状態:良][所持数:4]

rank:[F]


特製毒針(中位毒):[制限:無し][性能:ATT・3][判定:刺突][耐久度:1][状態:良][所持数:3]

rank:[E]


特製毒針(中位睡眠):[制限:無し][性能:ATT・3][判定:刺突][耐久度:1][状態:良][所持数:3]

rank:[E]


 equipment/accessory


七海製・ミサンガ:[制限:無し][性能:無し][耐久度:0.5][状態:良]

rank:[G]》


 だ、そうだ。

 自分の装備状況を確認しろと、ナナに言われたので見てみたが、ずいぶん正確に表示された。

 ただ俺がこれを開いて最初に思った事は、


 ──何故、英語と日本語が混ざってんの?


 という感想だった。

 分かりやすいように表示するなら、全部日本語しにてほしい。

 中途半端に日本語を混ぜていると微妙な気がする。

 まあ、読めない奴とかいるからだろうな、英語だと。


 武器や防具に、性能:ATTとか出てたけど、それはSTRとかと違うのだろうか?

 ゲーム好きであるナナがいうには、ATTをSTRにプラスしたのが総合的な攻撃力なのでは?と言っていた。

 納得はできない。

 俺的に威力は筋力よりも技術だと思っているからだ。

 まあ、今はいいけど。


 閑話休題──


「ナナ、声は絶対に上げるな。呼吸はゆっくり」


「大丈夫」


 裏門の前に二匹の豚がうろついていた。

 俺とナナは、良く手入れされた裏庭の木陰に隠れている。

 そこからの距離はすでに十メートル以下。


 風下をとれているから、臭いには気づかれていないだろう。ただ、そのせいで奴等の悪臭が鼻に伝わる。臭すぎる。こういうのには耐性のある俺だが、我慢できるだけであって、嫌なものは嫌だ。

 まあ、敵に気づかれていないのだから、良しとしよう。


 気配を殺す。

 まだ武器は握らない。

 僅かでも殺意を漏らす訳にはいかない。


 木陰から顔を僅かに覗かせる。

 視線を豚に向けない。視野角に写る全体を一つとして捉える。素人でも視線に敏感な奴はいるからな。


 豚の位置と地形の確認。

 位置は9.3メートル。

 直線上に今隠れている木以外の遮蔽物はない。


 豚の装備と状態を確認。

 ボロボロの腰布と、右手に持つ棍棒。

 歩き方から見て、怪我等はしていない。門の外を向いているため、こちらを見ていない。


 驚異度は二体でF+。(俺評価G~A)

 外見から想像できるパワーと耐久力は、俺と同格以下。

 しかし鈍いし繊細さが欠片も無い。

 警戒している感じでも無い。

 二体でも大した事は無いだろう。

 ただし最初の出現時の不可解な登場は、不確定要素として+補正。


 ──いける。


 問題ない。

 一度木陰に顔を引っ込め、ゆっくり息を吸い込みながら、思考を加速させていく。


 自分の状態も悪くない。

 敵はこっちに気づいていない。

 騒がれて他の奴等を呼ばれても面倒だから、目標タイムは三秒。

 問題ない。


 …………………………行け!!


 木陰から気配を消したまま音を立てずに出た俺は、手首と腕を特殊なスナップを利かせ、仕込んでいたスローイングダガーを取り出す。

 取り出したダガーをしっかり握り、スナップの勢いを殺すこと無く投擲フォームに入る。


 投げるのはボールでは無いので、腕を大きく回す事は無い。

 地面と平行にダガーを構え、腰の回転による後ろから前への体重移動と踏み込み。その力を利用して、突き押すように投擲する。

 更に『気』を投げる瞬間だけ腕に纏わせ、威力を上げる。


 高速で音も無くダガーは飛ぶ。

 右の豚の後頭部目掛けて。


 飛来するダガーに、豚は反応しない。

 気を一瞬放出した為に、気づかれる可能性を考慮していただけあって、実に呆気ない。


 ──すでにダガーは右の豚の後頭部に深々と刺さっていた。


 右のオークの視界は暗転する。

 ゆっくりと崩れる右の豚。それを見てようやく異変に気づく左の豚。


 しかし──すでにダガーが後頭部に刺さっていた。


 一体目が悲鳴を上げる事も許されず倒れていく中、もう一度素早く的確に投擲していたのだ。


 普通なら即死だろうが、未だにピクピク動いている。

 数秒経っても生きている事には驚きだ。

 とはいえ、もう終わる。


 はい、終了。

 終わってみれば、暗殺で瞬殺だった。

 ダガーの一投目から二投目の着弾まで、三秒掛からなかった。

 物語の主人公の様に、激闘など演じない。そもそも正面から戦う必要性が無い。

 静かに確実に素早く最小限で終わらせる。

 それが実戦の基本。


 既に物言わぬ死体。

 ダガーは完全に血の流れが止まるのを待ってから抜こう。帰り血はごめんだ。

 と、俺が気を抜く事も無く、敵の死体を見ていると、


 ──パシャッ!


 シャッター音が、小さくだが響いた。

 後ろから。

 というかナナだ。


「………何やってんの?」


「いや、もう終わりだろ?だから【Dictionary】を使って見ようかな、と」


 このチビ。

 俺の指示があるまで出てくるなと言っただろう。

 踏みつけてやりたいが、今は我慢だ──


「──いや踏んでる!踏んでるよ!!」


「あ…」


 しまった。いつもの癖で。

 こいつの調きょ──教育にはいつもこうして、蹴ったり踏んだりしているから、つい……。

 反省、反省。


「だったら退かせよ!!」


 まあいいや。


【Dictionary】は確か、撮影したものを検索する機能がある、だっけ?

 確かに敵の情報が手に入るなら、確かに使って損は無い。

 俺も【Dictionary】のアイコンをタッチして、スマホのカメラ機能と変わらないそれで、撮影する。


 パシャッ。


《オーク/rankF

level-average:10

energy-average:[LP・90][MP・10][SP・80]

physical-average:[STR・45][VIT・53][AGI・7][DEX・6]

magic-average:[M-STR・10][M-PUR・5][M-RES・5][M-CON・3]


 豚頭人体の亜人。

 上位個体を除いて知性に乏しく食欲や性欲を剥き出しにする。

 雌が存在しないため、近親種の雌を孕ませる》


 ふむ。結構詳しく出たな。

 あいつらオークっていうんだな。


 俺が知りたかったテレポートらしき移動手段についての記述は無い。

 という事は、やっぱりテレポートとかではないのだろうか?


「本当にゲームだな」


「ん?」


「いや、オークってゲームとかに良く出てくるモンスターだから」


「ああ」


 なるほど。

 マジでゲームがリアルになった感じか。

 イカれてるな。


 それにしても雌がいないって、生物的に欠陥過ぎない?

 近親種。亜人。

 ………人間も可能性有り、か。

 俺と同じ事を思ったのか、ナナは顔をひきつらせている。

 外見といい、生態といい、男女問わず人にとっては嫌悪の塊みたいな生物だな。


 俺が【Dictionary】の確認を終え、元の画面に戻ると──さっきまでは無かった文章が表示されていた。

 訝しげに思いながら、文章を読もうと──


「夜月!」


 ──したときに、ナナの驚愕に満ちた声が響いた。

 叫ぶな、と言ったはずなのだが、よほどの事があったのだろう。無かったら蹴る。家の教育方針。

 俺はナナが指差した、そうオークとかいう豚の方を向いて、


「………マジか」


 思わず呟いてしまった。

 豚、いやオークと呼ばれるモンスターの死体が淡く発光して、次の瞬間には細かい光の粒子となって空間に溶けるように消えていく。

 あの豚の末路とは思えないほど、幻想的な光景だった。


「ナナ、あれもゲーム仕様か?」


「……うん。多分」


 おいおい、さすがに理解が追い付かねえ。

 確かにゲームの中で敵を倒しても死体とか残らないけども……リアルだぞ?


 綺麗な光になって、残った場所には俺の二つのダガーと──大小の袋が二つづつ。

 ………袋?灰色の簡素な袋。

 ダガーを含めて六つの物が、その光の後には残った。


「ドロップアイテムとお金かな?」


「……ここまでゲーム仕様なんだな」


 あまりここに長くいる訳にもいかないから、さっさと確認してしまおう。

 とはいえ変な物だったらナナに見せられないので、ナナを背に隠しながら、慎重にされど歩は緩めず近づく。


 まずダガーを手に取る。

 ……血と脂が付着している。

 光で消えなかったらしい。

 多分だが、個人の所有物に付着すると消えないのでは無いだろうか?それだと面倒だな。


 ポケットにしまっているポケットティッシュで素早く丁寧に血を拭い、再び袖の中に隠す。

 そして次は、灰色の袋だ。


 外観から中の物を割り出すと、手に乗るサイズの袋は何となく想像できる。

 ナナの言った通り、お金だろう。布にコインの様な形が浮き出ている。

 俺はその小さい袋のうち、一つを手に取り、ゆっくり綴じてある紐を引っ張り袋を開く。


「……十円玉?」


 いや、違う。

 描かれているのは、剣と杖と盾。

 十円玉とほぼ同じサイズで、良く似ている。


「銅貨、C(カッパー)か」


 そのCが、二十二枚。

 つまりオーク一体の値段は、220円。安い。ちなみにもう一つは23C。大差ない。


「ナナ」


「ん」


 とりあえず危険は無さそうなので、ナナに渡す。

 見ておいた方が良いだろう。


 もう一つは分からない。

 外観からも、嗅覚からも分からない。

 しょうがないので手を触れて感触を確かめる。


 ……ぶにっ、てしたな。

 柔らかい。そして冷たい。

 クッションとかの柔らかさではなく、なんか生肉みたいな生々しい柔らかさ。マジで生肉なんじゃい?

 若干予測は出来たので、少し躊躇いながらも、どうせ見るんだからと、紐を引っ張り袋を開く。


「………うん。肉だな」


 俺結構凄くない?

 あまり詳しくは無いが、多分豚肉。

 そう豚肉。

 おそろしく食べたくない肉だ。まあ、普段からあんまり肉とか食べないけど。


「夜月、なんだった?」


「肉。豚肉」


「……絶対食べたくない」


 ナナが心底嫌そうな顔をする。分かる。

 ちなみに、手にかかる重みから、三百グラムくらいかな?どうでもいいけど。


「これ【Item】のstorageにしまっておこう。お金も」


「ああ。金はお前がもって良いぞ」


「良いのか?」


 どうせ一緒に行動するからな。どっちが持ってても、問題ない。

 なら、ナナに持たせておこう。


 storageにしまって見ようと、スマホと取りだし──思い出す。

 あ、文章出てたの忘れてた。


《オークlevel9撃破!

 exp:14

 bonus:【暗殺+30%】【瞬殺+30%】

 total-exp:22》


《オークlevel10撃破!

 exp:15

 bonus:【暗殺+30%】【瞬殺+30%】

 total-exp:24》


《level-UP!!

 level1→level3

 BP20を獲得

 振り分けますか?yes/no》


「…………………………」


「何度も言うが、ゲームだな」


 もう何でもありだよね。

【暗殺】=一切気取られる事無く、一撃で敵のLPを全損させる。

【瞬殺】=戦闘開始から三秒以内で、敵のLPを全損させる。

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