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「,,,てください。起きてください」

「んぅ」

誰かに呼ばれ、俺は目を開けた。するとそこには、

「わん!」

犬がいた。地球にいる犬だ。

「は?」

(なんでこんな所に犬が?)

「お目覚めのようですね。着替えと朝食の準備ができております」

「ちょっと待ってくれ。君は誰なんだ?それにこの犬は?」

「申し遅れました。私の名前は《ドッグベル》のルルゥと申します。その子が娘のルゥです」

(《ドッグベル》というのはおそらく種族なのだろう)

「そうじゃなくて。何で此処にいるかを聞いていたんだが?」

「お傍付の話を聞いていませんか?」

「…あぁ、そういえば言っていた。じゃぁ、ルルゥだっけか?君が俺の傍付なのか?」

「いいえ」

「…じゃあ、もしかしてこの子が?」

「はい」

「無理だろう。ルルゥみたいな人型ならまだしも」

「その点は問題ありません」

「そうなのか?」

「はい」

(ルルゥがそう言ってるし、大丈夫か)

取りあえず、納得することにした。

その後、着替えのことなどでひと騒動あったがまぁ、概ね静かな朝だった。


* * * 


俺はクリスとロベルトを連れて再び戦場に来ていた。

「やっぱり、昨日のことがあったから、比較的敵の攻撃が激しくないな」

「…そりゃそうよ。あそこが敵の前線基地の中で最も大型だっのだから」

「へぇ、そうだったのか。そりゃあラッキーだったな」

「…あのぉ、つかぬ事をお聞きしますが、今日はどうするつもりで?」

(ロベルト、随分と腰低くなったな!)

「そうだなぁ、…いっそのこと同じことをもう一回,,,」

「駄目です!」

「うぉ!」

「昨日あれだけ危険な目に合ったのに、まだやる気なの!」

クリスが怒ってきた。

「悪かったよ。もうしないから」

「ふ、ふん!当然でしょ!」

謝ったのに顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。相当怒ってるみたいだ。

「じゃ、じゃあ今日は前線で崩れそうなところに応援に行こっ!なっ!」

「ふん!」

(なんで俺は戦場に来てまで女の子の機嫌取りしてるんだろう?)

その後も何故かクリスは俺にばっかり突っかかってきた。

(最初の出会いのことをまだ怒ってるのか?だとしたら面倒だから、後でまた謝りに行こう)

そうして、今日も無事(?)に終わった。


* * *


夕食が終わったあと、俺はルルゥに気になったことを聞いた。

「なぁ、何で帝国の奴らは夜は攻めてこないんだ?」

「それは諸説ありますが、一番有力なのはおそらく彼らはその身に施されている改造のせいで、太陽が出ている間しか行動できないからだという説です」

「成程ね。…なぁ、帝国の技術力ってどのくらいなんだ?」

「えーっと、どのくらいとは?」

「例えば、他の国を凌駕しているとかさ」

「そういう事でしたら。…おそらく帝国にはどの国も適いません」

「そうか。…例えば兵士が無尽蔵に出てくる渦とかは聞いたことあるか?」

「さぁ?聞いたことがありませんが?」

「じゃあ、自動で開く門とかは?」

「確か、《商業国家ディーリン》で試験的に導入されたとか。まぁ、結果は散々だったようですが」

「つまりまだ使えるレベルではないか」

「…まさか、そのような物を帝国は使っていたのですか?」

「あぁ。しかも試験的に導入されたって感じでもなかった。あれは確実に完成していたな」

「それならば、物凄く、それこそ十歩も二十歩も先に行っていることになります」

「参ったな。それなら、俺一人の力ではどうしようもない位戦力差があるかもしれない」

「…では、どうするのですか?」

「まずは…俺が知っている知識を使って技術力アップできないか試してみよう」

俺はここに来る前は工業系の高校に通っていたし、工業系の大学に入ろうとして色々な工業系雑誌を読んでいたから、現代の道具に対しての知識は多い方だから何か役にたつだろうと思ったのだ。


* * *


思ったのだが、

「これは酷すぎる」

剣や鎧などの武具から、傷薬などまで、ほぼすべてが手作りだったのだ。つまり、俺が持っている知識は確かに使える。使えるが、まず伝えたとしても理解できるかどうかが不明。そういうレベルだったのだ。

「なぁ、こんなんで足りてるのか?」

俺はルルゥに訊いた。

「いいえ、全然。足りない分は隣国のディーリンから仕入れています」

との回答。

「こんなんじゃあ、勝てるものも勝てないだろ」

(かと言って、すぐにどうにか出来るものでもないしな)

その通りなのだ。正直、基盤をどうにかするより、ディーリンとの値段交渉の事を考える方がよっぽど効率的である。

(くっそ~、勇者になってまで考えるには工業のことか)

大学の事を考えなくて済むと思って少し気楽になっていたのに。

(取りあえず、一回自分の部屋に戻ろう)

そう考えて俺は自分の部屋に戻った


* * *


「ワンワン!」

「おぉ~よしよし、いい子だ」

部屋に戻った俺はルゥと遊んでいた。だって考えても答えが出ないし、気分転換にと。

「クゥ~ン」

「よしよし」

可愛いやつだ。

「よし!十分遊んだし、もう寝るか」

「わん!」

気分転換をしても妙案など思いつかなかったので、寝ることにした。

ヒロイン二人目登場です。と、言ってもケモノ娘になるのはまだですが。あ、一人目はクリスですよ。凄く影が薄い感じだから、念のため

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