002
連続です。投稿の仕方がうまくわからず二つに分割してしまいました。すいません
「そんなことしなくても、大人しくついていくさ」
「そうか、ならついてこい」
そう言って歩いていくロベルトの後についてゆく。
「なぁ、捕虜って何かされんの?」
「黙って歩きなさい」
そう言って頭を叩かれる。
(まいったな。)
どうしようか考えながら歩いていると、建物の前で止まったロベルトにぶつかる。
「痛いな」
「此処にいろ。今、他の兵を読んでくる」
そう言ってロベルトは去っていった。仕方ないので、〈クリス〉という名前らしい彼女に訊いてみた。
「なぁ、何処と戦ってんだ?さっき言っていた〈大帝国エンペリオン〉?」
「そうだ。しかし何故わかった?」驚きながら言った。
「いやな、さっきから話に出ていたし、さっきのロベルトさんだっけ?が『帝国の魔法使いか?』って言っていたから。あぁ言うとき、気にするのは普通敵国のことだよな」
俺は当たり前の事のように言う。
「あの状況でそこまで考えていたのか」彼女は感嘆しつつ言った。
すると、ロベルトが走ってきた。何やら焦っているようだが。
「あれ?他の兵は?」クリスが聞く。
「その男を連れてこいと女王陛下が」
「「えぇぇぇ!!」」
俺はクリスと共に叫んだ。
* * *
そして俺は縄でぐるぐる巻きにされてある女性の前で正座していた。
(ちょっとまてよ!何でこの国で一番偉い人と会ってるんだ?)
「そなたの名前は?」
「俺の名前は桃井健だ。あんたこそ名乗ったらどうだい?」
「貴様!女王陛下に向かって何て口を!」
「よい。我が名は〈エリザベート・フリーデン〉である」
「じゃあ、エリザベート陛下よぉ、あんたら負けているだろ」
「貴様!」
エリザベートは手振りでロベルトを制すと健に訊いた。
「なぜそう思う?」
「簡単なことさ。まず第一に俺が連れてこられるまでに幾つか関所を通ったが、その内2、3か所には人が居なかった。おかしいだろ、関所なのに人が居ないのは。それだけならまだいいが、最後の関所の前には人だかりが出来ていた。あれって避難民達じゃないのか?しかもさっきここに連れられてくるとき窓から見たんだが他の方角の3か所の関所はあんなに人が居なかった、つまり一方向から来たってことだ。そしてその方角ってぇのがさっき俺が連れてこられた方向つまり戦場の方だ。第二に俺は歩いてここまで来た。でもおかしいだろ。この国のトップが居る王都と戦場が歩いていける距離って。つまり戦線がかなり押されているってことだよな。」
俺を除く全員が絶句している。
「まさか、そこまで気づくとは見事なものだな」
女王は言う。
「それだけじゃないぜ。あんた達は俺を使える人物か判断して、使えるようなら戦場に出そうとしてるだろ」
「な!」
再び絶句。
(なんか絶句させてばっかだ)
そう思いながら続けて言う。
「俺に何ができるとは思えないんだけど」
「いや、そなたの凄さはよくわかった。だが最後に幾つかかくにんしたい事がある」
そう言ってロベルトに剣を構えさせる。
「え、嘘だろ!」
「やれ」
「はっ!」
そう言ってロベルトは剣で斬りつけてきた。
(斬られる!)
そう思って目を瞑った。
シュッ!ガキィィン!音を立てて首筋に何かが当たった。
「痛っ!」
(あれ?痛い?)
たいして痛くなかった。それどころか、目を開けてみるとそこには折れた剣と
「なぁっ!」
そう言って絶句するロベルトの姿があった。
「やはり、そなたが神話の勇者なのですね」
「はぁ?今なんと?」
「そなたが神話の勇者なのですね」
「いや、聞き逃したんじゃなくて。俺が神話の勇者だっていうのか?」
「えぇ、貴方様は聡明でいらしゃる。それに常人ではあり得ない程の身体の頑強さと魔法への耐性をお持ちになっている。それだけで十分でございましょう」
「いや、確かにそうだったが」
「それに神話にはこう記されています『この国が未曾有の窮地に立たされたとき、必ず勇持つ者が現れこの国を救うだろう。』と。さぁ!勇者様、この国を救ってくださいな!」
「なぁっ!」
今度は俺が絶句する番だった。