いつか紅葉の下で
綺麗な満月を薄い雲が覆い、月の光が反射して虹色に光って見える。風は冷たくなり、友達が一斉にコートを羽織るようになった。そんな冬の初め。
「ふぅー」
僕らは二人、帰り道の公園で一服をしていた。寒いこともあり、吐き出すタバコの煙がいつもより白く、長く続く。やっぱり外で友達と吸う煙草は格別だ。いつも部屋で吸うのとは一味も二味も違う。煙が肺の中を通り、口の端からゆっくりと吐き出す。そうするとだんだん頭がくらくらしてきて、そして疲れが取れていく感じがする。
隣にいる友人が高2のとき親父のPIANISSIMOをぱくってきて、それを二人で吸ったのが始め。世間への背徳感というか、まぁそんなガキみたいな理由だった。そんな気持ちで始めた煙草も、今は「MILD SEVEN」「SEVEN STAR」と、少しニコチン、タールの量が増えた煙草を毎日のように吸っている。誰かに言ったら馬鹿にされそうだな。
それにしても毎回迷うのは場所だ。二十歳になってもいないし、学生服。見つかれば一発で補導される。というわけで堂々と吸うわけにはいかなかった。
今回見つけたこの公園も、住宅街のど真ん中。周りは民家ばかりだった。選んだ理由は公園おなかに明かりがなかったのと、人通りが少なそうだったってだけ。
二人でたわいも無い話をしながら、一本吸い終わり、小便がしたくなったので近くの茂みで立ちしょんをした。
戻ると、友人は一本の木を感慨深く眺めていた。
「なぁ、ここの木なんか変じゃないか?」
そこには、2m弱の木が5本並んでいた。
僕には何が変なのか分からなかった。だが友達はどこか懐かしそうに見つめていた。
「何が変なんだ?」
「これだよ」
そういって一番端の、その中で一番低い木を指差した。
「確かに、他の木に比べて少し小さいね。」
「そうじゃないよ。ほら、この木だけ紅葉だ」
よく見ると、確かに他の4本とは違った形の葉っぱで、それは紅葉だった。
「へぇ、それにしても、なんで一本だけ違うんだろうな。場所もコンクリートのすぐ横だし、明らかに場所が悪いだろ」
「実はこれ、俺が昔植えたんだ」
「えっ、まじ?」
「へへっ、昔は20センチくらいの枝だったんだぜ」
聞く話によると、小学1年生の頃、友人が友達と一緒にここに枝を植えたそうだ。別に自分たちで世話をしたわけでもなく、自然に育てられ、ここまで成長したそうだ。多分本人も当時ここまでに成長するとは思っていなかったんじゃないか。
「やべぇ、感動するわ。こいつ、俺の身長を超えやがったよ」
「1年生って事は…こいつは10歳か。まだまだ大きくなるぞ」
「きっと、俺のほうが先に死ぬんだろうな」
「親の気分?」
「そんな感じ」
「じゃぁ将来さ、大人になって俺らが他の県に行ってもさ、またここでこいつの成長を見て一服しようぜ」
「お前はあんま関係ないけどね……まぁそれもいいな」
僕も友人も、いつか大きくなり、幹はもっとたくましく、綺麗な葉っぱを咲かせた紅葉の下で、一緒に煙草の煙をふかしながら、思い出話に花でも咲かせる日が来ることを楽しみに待っていようと思う。
呼んでいただきありがとうございます^^




