第七十一話 新ポイントガード
部に居場所が無くなった俺は
バスケを捨てるという選択しかできひんかった
それでも受験の時には悔しくてあいつ(鵜島)にリベンジしたくて
わざわざ東京の高校を選んだんや
「光飛高校」
その頃に既にPGとして試合に出ていた宝流真一のプレーに魅了されていた
ドライブ、アシスト、ブロック全てにおいて完璧であった
今度は…自分が人にアシストするのではなく
自分を使ってもらいたいと思った
それならば、攻められる事もないし責任感を感じない
だが現状は甘くは無かった
真一は故障で渡米し残されたのは僅かな部員
この時から既に長西の心はPGにへと傾いてはいたが決心がつかなかった
しかし、影峰達も入部しよりチームとして固まってきたが
PGの不在が何時までもこのチームの課題となった
真一は戻ってきたもののWCで破れ引退…夏川はまだPGとしては経験不足
そこに大宮心慈が転校してた
PFと呼ばれる極めて珍しいポジションだ
ガードの仕事をしながらフォワードの動きをするというものだ
本人はGの仕事よりもFの方がやりたいようだ
実際、黒禅戦ではGとしての仕事はしていたが
チームの得点のほとんどを彼が稼いでいた
影峰以上のスコアラーとなっているのは事実だ
つまり…アウトサイドは影峰ともう1人ほしいところだ
点取りのFは飛びぬけたスキルを持つ大宮と素質を持ち門松だ
インサイドは扇田がいる、あと1人インサイドに強い選手が必要になってくる
Gの夏川をいずれは得点を取れる選手に…それもアウトサイドで
「と、なれば…PGやな…」
今日は部活が休みで自宅の自分の部屋のベッドで寝転びながらポツリと呟いていた
かれこれ1時間近くチームのことを掘り返すように思い出していた
やるかやらないかは、以前から迷っていたそんな自分と何度も葛藤していた
もう2度と…あんな思いをするのは、避けて通りたかった
だがそんな嫌な思いから、ただ単に、逃げていたのだけかもしれない
「ほんま、死神バスケ部が変わったもんや…ははっ、なんか笑えてしまうな
こんなチームでも勝つこともできたんやし・・・」
今のチームのあの時のチームと比べてはいけない
俺は今、死神バスケ部のキャプテンやねん…!
自分がPGをしてチームがより強みをますなら迷いは置いて去ろう
なぜだか知らないけどこの死神バスケ部には温かみがあった
自然と安心ができる…今後もこのチームで長くやっていきたい
もう迷うのはやめよう……これからはこのチームの司令塔としてやっていきたい
ポケットから携帯を引っ張り出し学校の電話番号にかけた
ぷるる・・と何度か鳴った後、がちゃっと音が聞こえた
「3年の長西です…ええ、佐川先生はいらっしゃいますか?」
出たのは他の担任でしばらく保留で待たされた
待っている間何度も深呼吸をし
そして保留が解除され佐川へと電話の相手が変わった
長西は迷うことなく
「急にすいません…俺にPGやらせてもらえませんか…?」
ようやく地に足をつけた感じがした
チームに自分がいると改めて認識した…