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第七十話 拒絶の理由

長西の過去話です

佐川がいつも通り体育館で死神バスケ部の練習風景を眺めていた

いつも通り長西は変わらずチームを指揮している

惜しいと思った、あれほどのアシスト能力、得点力、空間把握力があるのに

PGを拒絶する…その理由とは一体



練習をしている長西の脳裏の奥には

徐々に中学時代の映像が浮かび上がっていた



本人は忘れ去りたかったあの過去が




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


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欧凱中学校…関西の中学でバスケ部の強豪チームでもある



その中学校のバスケ部に長西竜治はいた

その時中3で副キャプテンを務めていた


ポジションは…PGポイントガード




中学時代から体格の良さ、能力の高さでPGの才能を開花した

何より味方を生かすのが上手く

彼のお陰で、今まで活躍しなかった選手が急成長をした程味方の能力を引き出すことに長けている



ここまで何1つ不自由のない生活であった

チームメイトからも好かれ、明るい性格

だが…ある1人の人物が彼のことを快く思っていなかった



鵜島大地…そのチームのシューターであり

チーム1の得点力を誇っていた

長西のプレイとは裏腹に、ほぼ自分で決めに行くプレー中心で

何度も仲間との衝突があったが彼の性格故に文句言う選手はいなくなった



自分が一番でなければ気が済まないような男だ


監督からも気に入られていた長西が何よりも気に喰わなかった



「いよいよ明日が我々の最後の大会だ…厳しい戦いになると思うがチーム全員で乗り越えよう!」


明日が中学バスケの最後の大会であった

練習終わりに監督から激励をされチームの士気はより高まった

ただ1人を除いては




帰り道…鵜島既に長西へ対する嫉妬心を募らせていた


「気にくわへんな…長西。わいが1番やないと気にくわへんわ…」


その時鵜島の頭にはあることが思いついていた

彼をどん底に突き落とすための…



「悪いな…長西…ちょっとひどいこと思いついたわ」



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ーーーーーーー



初戦当日…本来ならば1回戦で苦戦するようなチームではないが



「くっ…!」

「8番!白!プッシング!」


ファウルを取られたのはPGの長西であった

第2Qでありながら既に3Fをもらっている

チームの司令塔としては致命的なことであった


(なんでや…なんであいつ…)


それもそのはず肝心の鵜島が思ったプレーをせず

幾度となくチャンスを潰していた


鵜島は誰にも表情を見せないように静かに笑みを浮かべた





当然、試合は大差で敗れ…試合に出ていたメンバーはその場で泣き崩れていた

鵜島を除き…



試合終了後監督の話を聞き、メンバーはロッカールームで更衣をしていた

試合の内容を見れば第3Qの序盤で長西が退場したことが大きな敗因であった

そのことに鵜島が


「はぁ…ほんまチームの司令塔がヘマしてくれたわ」


張り詰めた空気の中鵜島がポツリと吐き捨てるように言い放った

鵜島の近くで着替えていた長西は手を止め、鵜島の近くに寄り

メンバーは何も言えず、ただ黙々と着替えをしていた



「俺が退場したんが敗因や…せやけど今日のお前のプレーもどうやねん?」

シュートすら決めていない鵜島に文句を言われる筋合いはなかった

しかし、鵜島は表情を変えることなく

「お前のパスが調子狂わしてん…ほんま今日の敗因はお前やで長西」

彼の言うことはもっともであった…自分の退場がなければ

大差で負けることはなかったはず、何より一番心に響いたのが

自分の所為でチームが敗因したことであった

「なぁ、お前らもそう思うやろ?」

着替えをしていたメンバーに同意を求めるように声をかける鵜島

以前からメンバーを脅していた鵜島に逆らえることができず

メンバーは仕方なしに首を縦に振った


それが長西の心に重く深く刺さった

今すぐその場から消え去りたかった



「な…なんやねんお前ら…何が言いたいねん!」

息を上げながらメンバーに言い放つ長西

鵜島はそれを嘲笑うかのように


「やかましいわ…誰もお前を必要としてへん、ただそれだけや」

言い放った後、心の中で大笑いをしていた鵜島

この一言により完全に長西の心は砕け散った




長西は言い返すことなく、その場を跡にした…



後にある選手のプレーを見て…彼はもう1度バスケと向き合うことを決意した

そして、関西を飛び出て関東の光飛高校に入学し

必ず鵜島大地にリベンジすることを心に秘めていた




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