第三十八話 敵は?
合宿が始まり…
午前はとにかく走りこみを指示され
メンバーは河川敷をひたすら走りこむ
その後、体育館で試合形式の練習を行い
プレーの確認、自主練などをする
走りこみ以外は普段と同じ練習量と変わらないが
夏の午前は気温が高く思った以上に体力が消耗される
合宿一日目の練習が終わり、各自体育館の床に座り込み休憩をしている
「ぜーっ…ぜーっ……」
「はぁ…っ…」
一日目の練習で早速バテてしまったメンバー
大量の汗が流れ落ちる
「ほんまきついなぁー…」
「俺合宿初めてっすから、ついてくので精一杯っすよ……」
一年の景峰、夏川、門松は床に寝転んだまま動かない
それほど走りこんだのだ、彼ら一年には第4Q全てを走りきらなければならない
「それより練習試合の敵は?」
一人練習が終わった後も黙々とシュート練習をする真一
「まだ決まってへんみたいですー」
「まさか三強とかじゃねぇだろうな?」
東京の3強と呼ばれる王鐘、桜泉、白ノ川の3校が近年IHに何度も出場している
この3校は東京では別格とまで言われている
「そういえば桜泉と白ノ川は去年のIHの結果は?」
景峰が寝転んだ状態から顔を上げ
「白ノ川は3回戦敗退やけど…桜泉は去年のIH3位につけとる」
「それじゃあ…去年IHで王鐘を下したのが桜泉!?」
「そういうこっちゃ、なんせ…桜泉には四神強の一人がおるんやからな」
以前から気になっていた四神強の話題がこの場で出た
もしかすると兄がその四人の中に?
けれどそれだけ有名ならば僕の耳にも入ってくるはずだが…
「その桜泉のエースが…青田典宏」
「青田…?」
「俺等と同じ2年生や、ポジションはSG…全国一のSGかもしれへんな」
自分と同じポジションなだけに反応を示す景峰
「全国一の…?」
「全国屈指の3P成功率…いや全国一やな、特に僅差での試合でのアイツの集中力
王鐘も僅差で迫ってた所を青田の3Pに沈められた」
「クラッチシューターっすか…」
「なんせ身長も高いから打点が高いねん…止めるのも困難やし
僅差の試合でアイツが3Pを外してるとこを俺等は見たことがない」
僅差な試合での3Pは特に重要になる重くのしかかるプレッシャーもあるが
青田はそんな僅差な試合の中でも顔色一つ変えず3Pで敵を沈める
パサーとしての能力も高いらしく、ボール運びの役割も果たしている
そんな選手が僕達と同じ地区にいるなんて…またしてもIHへの壁が高く感じられた
その時、体育館に川島と優華ちゃんが入ってきた
もしかして練習試合の相手が?
「明日練習試合するからな~、敵は………」
長い間が続く
「さっさと言えやオラァ!!!」
扇田の一喝ですぐさま続きを言い放つ
「私立北之木高校だ!!」
北之木高校とは……?