第三十二話 どうする
第１Ｑが終了し
２分間のハーフタイムが与えられる
「やはり佐々木はひたすらインサイドを押してくるのう・・」
日比野監督は顎に右手を当てたまま
顔を歪めていた
水分補給をし息を切らしながら各選手も
「ですが、佐々木をマークしたとしてもアウトサイドからはあのＳＧがいます」
「どうする…」
ピエロがポツリと呟いた
作戦が決まらないまま第２Ｑ開始のブザーが鳴り
王鐘ボールから始まった
ＳＦの苅野がＰＧ郡野にボールをパスし
郡野がハーフラインまでボールを運んでいく
予想通りＰＧの鈴木がマークにつく
ボールをキープしたままパスする相手を探す
マークを振り切ったピエロが
「こっちだ！」
郡野は鈴木にマークをされながら見事にピエロにパスを通す
ボールを胸元で受け取ったピエロはドライブで進み
バチッ！
「！？」
前へ進もうとした瞬間背後からＳＦ申にスティールをされボールを取られる
「がっはっははは！」
「っ・・・またコイツか・・！」
申はすぐさま鈴木へパス
ＰＧの鈴木がボールを運んで行き
「鈴木！！」
巨体に似合わぬスピードで走りこんできた佐々木にパス
ペイントエリア内に走りこんだ佐々木はそのまま高く跳躍し
ガゴンッ！！
ダンクシュートで思いっきりボールをたたき付けた
２点が黒禅高校に加わり
第２Ｑの中盤…
郡野が３点ラインから３Ｐを放つが
僅かにボールはリングに当たり外れる
石垣がすぐにリバウンド体勢に入るが
Ｃの佐々木がスクリーンアウトで石垣のリバウンドスペースを阻む
「くっ・・これじゃリバウンドが・・！」
ほぼ佐々木の背中に密着している状態だ
落下してきたボールを佐々木がリバウンドし
ＰＧ鈴木にロングパス
そのまま呆気なくＳＧの蜉海に３点シュートを決められた
差は縮まるどころか開くばかりだ
「佐々木がほとんどゲームを支配してるな…」
真一が静かに口を開き
「あいつを止めれへんかったら差は開くばかりや…ピエロのプレイスタイルも通用せぇへん
せやけど、あのピエロがこのまま黙って終わる訳はないやろうな」
第２Ｑも終了間近であった
「僕が捨てるしかないな…」
ピエロが何かを思いつき顔を顰める
３２ＶＳ１９で黒禅が依然リード！
