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第三十話 20分前の控え室

ドワァァァァァァ!!!!


歓声が地鳴りへと変わったのはいうまでもない


高校バスケ界の伝説の佐々木一樹・・!


「あ・・あれが高校生なんすか?」

門松も驚きの表情を隠せなかった

同じく僕も開いた口が塞がらないままであった

「お前等よくこの試合を見とけよ・・バスケ界最強の男のプレーをな」

真一は未だに興奮をしたままコート内を見ていた


「クックッ・・まだ騒ぐんじゃねぇよ」

佐々木が観客に目を向け静かに微笑む


対するピエロはコート内から佐々木を睨みつけたままであった


試合開始の20分前に


ピエロは更に決意を固めた


20分前・・・王鐘学園控え室


いつも通りポジションの確認等日比野監督から伝えられていた

それを聞こうとせずにロッカーにもたれ掛りながら何かを考えているピエロ

それもそのはず、ピエロが佐々木に1on1を挑んだ試合

10回中全てピエロが敗北した、得意のトリッキーな動きも佐々木の前では全て通用しなかった

その時に放たれた佐々木の言葉は今でも忘れられないピエロであった


「お前は所詮良い選手止まりだ・・三神強には届きすらしねぇよ」


この言葉が何時までも頭の中で渦巻いていた


ずっと言われ続けたこと・・天才、天才と呼ばれてはいるが

全国の頂点に立ったことはないあの3人を超えない限りは


悔しかった


努力した


血の滲む練習をした


挫折した


でもピエロは決して諦めなかった・・神と呼ばれる3人を超えるために


そして今日・・神の3人を或いは越える存在である


佐々木の率いるチームとの全国制覇をかけた試合であった


試合開始まで残り数分となったところでメンバーが控え室を出て行く


ピエロも遅れをとりながら出ようとすると


パンッ!と石垣に腰を軽く叩かれ


「お前が全国で頂点だ・・!それをこの試合で証明してやれ!」


それを言い放つと控え室から出る石垣


ピエロは一瞬動きを止めた

「・・・」

チームの信頼を受けたピエロは自信に満ち溢れた

日比野とピエロだけが控え室に残り・・・日比野が静かに口を開く

「魅せてこいお前のバスケを・・バスケ界の頂点に立つ男に」


もう


ピエロの頭の中に


あの言葉は


渦巻きはしなかった・・・






王鐘学園メンバー


石垣 センター

群野 PGポイントガード

ピエロSGシューティングガード

苅野 SFスモールフォワード

小西 PFパワーフォワード


黒禅高校メンバー


佐々木 センター

鈴木  PGポイントガード

申   SFスモールフォワード

吉沢  PFパワーフォワード

蜉海  SGシューティングガード


「あ・・?」

観客席の長西が黒禅のメンバー発表に違和感を感じた

「鈴木がPGに変更してるな・・」

真一がすかさずその違和感に気づいた

「元々PGとSFができる万能選手なんすよね」

「ああ・・恐らくインターハイでは鈴木がPGで指揮を取るんだろうな」


両チームの選手がセンターサークルに並び


審判が試合開始を告げる


「お願いします!!!!」


「始まったな・・・インターハイ」

長西がぼそりと呟いた


ジャンプボールは石垣と佐々木の対決だ


審判がオレンジ色の籠球を上空に投げた


石垣は大きく跳躍したそれと同時に佐々木も跳躍した


「クックッ・・青二才が」

「くそ・・・・高すぎる・・・」

石垣は籠球にすら触れることなく


バシッと味方側にボールを弾き返した佐々木


ジャンプボールは佐々木が制した


PGの鈴木がボールを拾いすかさず敵陣に攻め込む

もちろん群野が鈴木のマークにつく

「うちの後輩がコテンパンにやられたみたいだからな・・借りは返すぜ鈴木!」

鈴木はにこりと笑みを浮かべ

「やってみな」

「・・・野郎っ」

群野が徐々に鈴木のドリブルできるペースを狭めていく

「これは・・中々だ・・ドリブルできないな・・」

ハーフライン辺りで鈴木は佐々木にパスをしようと目を向ける


パスを佐々木に投げた


バシッ!


ピエロが伸ばした手にはボールが触れていた


ピエロのインターセプトだ


「ピエロ!!あいつパスを読んでたんやな・・!」

「やるじゃねーかオラァ!!」


すぐさま黒禅メンバーはディフェンスに戻るが

ピエロは高速ドライブで3点ラインからシュート体勢に入る


その時


黒禅の選手がピエロのマークについた


「遅いよ・・それに君のサイズじゃ」

マークについた選手は明らかにピエロより身長が低く

既にピエロはシュート体勢に入っていた


その様子を見ていた佐々木は

「俺だけが頂点だと思うなよ」


ボールを手から放した


ボールは放たれた・・・と思ったが


バシィィッ!!!


シュートは見事にブロックされた


「なっ・・・!?」

ピエロは度肝を抜かれた


「がははは!!先制点はやらねぇよ・・!!」

大きく声を張り上げたのはピエロのマークについたSFの申であった

身長では明らかにピエロより低い申がブロックできた最大の理由は跳躍力!

信じられないジャンプ力でピエロのシュートをブロックしたのだ


「簡単には決めさせてくれないね・・・」

ピエロは冷や汗を頬に伝わせた



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