第二十八話 終わりと始まり
扇田は降りしきる雨の中立ちすくんでいた
「畜生・・・あの野郎」
扇田は手に持っていた傘を放り投げ
長西のいる体育館へと全力疾走で駆け出す
「はっはっはっ!こいつまだ抵抗しねぇぜ!」
ボロボロの長西・・痣だらけであった
うつ伏せでぜーぜーと息を切らしながら目の前に立つ生徒達・・・嫌バスケ部潰しの生徒に目を向けていた
「おい関西弁!何か言うことでもあるかぁ~?」
一人の生徒が長西の髪を掴み問いかける
長西は地面に顔を伏せながら
「アホ・・」
長西の言葉は不良達には挑発の言葉と捕らえられ
不良たちの怒りはピークに達する
「上等だ!!二度とバスケできなくしてやるぞ!!!」
長西は覚悟をし・・静かに目を閉じ
(残念や・・・『あいつ』にリベンジできひんままや・・・」
その時
勢いよく体育館に誰かが駆け込む
不良たちは一斉に入り口に目を向ける
「お・・扇田剛・・・!!!」
「はぁ・・はぁ・・てめぇら・・・そいつから5秒以内に離れねーとぶっ殺す」
扇田は不良たち全員を凝視する
「お・・扇田・・」
長西は扇田のその目つきから恐怖を感じ取った
まさに蛇に睨まれたかのように
不良たち全員は硬直したままだった
「ひぃ・・っ・・・!!」
情けない声を上げた不良たちは一斉に体育館から出て行った
残ったのは扇田と長西のみ
ボロボロの長西に駆け寄る扇田
「おい!無事か!?」
長西は口を少し歪ませ、ゆっくり立ち上がる
「はっ・・お前が来てくれたから無事や・・まだお前とバスケしたいしな」
今の長西の一言に扇田は決心した
バスケ部入部を
「ま・・まぁ・・お前はバスケ部に入る気はないんや・・これ以上は言わん・・
助けてくれてほんまにありがとうな・・・」
フラフラのまま、バスケ道具を直そうとする長西
(へっ・・3年間バスケ漬けも悪くねーな)
扇田は床に落ちていたボールを手に持ちリングに駆け出す
長西もその様子に気づき目を向けた
扇田はゴール前で大きくジャンプし
リングにダンクシュートをきめた
「扇田剛!!!入部だオラァ!!!!」