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第二十七話 9月13日

9月13日・・・ドシャブリの大雨


この日は河川敷での練習は中止だった


扇田は体育館に行って長西の様子を見に行った

予想通り長西は一人で練習をしていた

扇田が体育館に来た事を気づき声をかけた


「おぉ!扇田!入る気になったんか!?」

扇田は大きくため息をつき

「はいらねーよ・・」

がっかりと肩を落とす長西

扇田のポケットには入部届の紙がくしゃくしゃになりながら入っていた

昨日の夜に何度も書き直しては掻いた入部届の紙だ

「それにしてもバスケ部、ほとんど崩壊状態じゃねーか」

長西は頬を(ポリポリかきながら

「ははっ・・恥ずかしい話やねんけどな・・もうほとんど廃部状態や」

普通ならお前も辞めないのか?


なんでそんなに頑張るんだよ?


たかがバスケだろ?たった3年間だろ?


扇田の心の中にはいくつもの疑問が生まれた


「なぁ・・お前何で一人になってまでバスケするんだよ?」

扇田の何気ない質問に

長西は素直にこう答えた

「簡単や・・バスケがすきやから」


返ってきた超えたが意外な答えだったために

少し戸惑ってしまう扇田・・

今の扇田にはやはり長西の気持ちは理解できなかった

「やっぱわかんねーよ、俺だったら普通辞めるぞ」

冷たい一言を長西に吐き捨て、ゆっくりと体育館を出て行く

長西は扇田が出て行った後にぽつりと呟いた


「あいつ・・ほんまにバスケがすきやねんな・・」


長西の視線は体育館の足元の床に向けられていた


視線の先には扇田のポケットに入っていたはずの入部届の紙が落ちていた





扇田は体育館を出た後に


体育館裏に一人で溜まろうとしていた


雨が降っていたが体育館の屋根が丁度体育館裏を覆いかぶさっていたので


雨に濡れる心配はなかった


扇田は体育館裏の角を曲がろうとした瞬間、小さな数人の声が聞こえた


ピタリと止まりその会話を聞いていた


「なぁ俺等のバスケ部一人で廃部寸前だってよ」

しばらくするとタバコの匂いまで服に染み渡る

「はははっ!!ウケルなそりゃ!」

「なっさけねーよなしかも1年一人だけだしよー」

扇田は必死に殴りかかろうとするのを堪えていた

今にもこの声の主達に飛び掛りそうだった

「んじゃ今から潰して俺等の部室にしね?」

一瞬心臓がドキッとした扇田


この会話から分かったことはひとつ


こいつ等はバスケ部を潰そうとしている


「んじゃちょっと潰しにいきましょーか」

生徒達は笑い声を交えながら体育館へと向かった


扇田はしばらく硬直したまま動けなかった

ここで自分が長西を助けるべきだろうか?

いや・・バスケ部じゃない俺には関係ない・・・

扇田は体育館の角を曲がらずそのまま自宅へ戻ろうとした


そして・・体育館では


丁度練習が終わり一人で片づけをしていた長西


体育館に五人の帰宅部の生徒がゾロゾロと入ってきた


5人全員ほぼ1年生の中でも問題児の生徒であった


体育館には既にバスケ部の長西しか残っていなかった


片づけをしていた長西の肩をポンッとある一人の生徒が手を置く


それに気づいた長西は振り返ろうとした


バキィッ!!


振り返ろうとした瞬間、長西はその生徒に頬を殴られていた


「!?・・・な・・なんやねんお前ら!!」


「バスケ部潰す生徒だよ・・覚えとけ」


長西は悟った・・本当にバスケ部は潰れると・・


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