第二十四話 黒禅高校
「つまりは今までの試合全てノーアシストで景峰一人の力で3Pを取ってきた
だがそれでは全国どころか予選にも通用しない」
「分かりました・・先生の言いたいことは」
既に夏川には川島が何を言おうとしていたかも予想できた
「ふっ・・さすが話が早いな」
(パスに特化した練習とチーム全員の能力を最大限に引き出す力が必要・・)
一通りの話を終えた川島はタバコの箱をポケットから引っ張り出し
ライターで火を灯す
(ふぅーとりあえずこれで一通りの話は終えた・・後はこいつ等しだいだ)
・・練習時間が終わった後に1時間の自主練習が増え
各自ポジションに合った練習をこなしていた
そんな日々を送りながら一週間が立とうとしていた
真一の足の事はチーム内に伝えられた
その話を聞いてか全員士気が上がり練習にも熱が入る
ウィンターカップ予選まで刻々と時間が迫って来た
東京から離れた兵庫県のとある高校に
ピエロが着ていた
兵庫県・・私立黒禅高校
兵庫最強のバスケ部を誇る超強豪高校であった
部員はおよそ130人、その中でメンバー入りできるのはたった17人
その17人の中でも最強・・いや伝説とまで称されているバスケプレイヤーがいた
体育館に着いたピエロはその伝説の男との対戦を待ち望む
黒禅高校のバスケ部員も練習をしながらピエロの存在に気づく
「あいつ王鐘学園のピエロか?」
ちらほら黒禅の部員たちがヒソヒソ話始める
ピエロの情報は兵庫県まで伝わっているのだ
全く自分の噂話に興味を持たない
ピエロの下に一人の部員が近づいた
「目当てはあいつか?」
「ご名答だね」
ピエロに近づいたのはこのチームの副キャプテン、3年生鈴木小次郎だ
ポジションはSFである
全国でも五本の指に入るほどの万能選手でもある
「悪いがあいつはお前程の選手を相手にするほど暇じゃない」
その時
背後からピエロの肩をガシッと掴んだ
振り向きもせずにピエロはその背後の人物に声をかけた
「掴まれただけで分かるよ・・君の力量が」
「生意気なルーキーが百万年早ぇんだよ」
背後に立っていた男はピエロの肩から手を離す
佐々木一樹3年生
身長2m10cm
体重130kg
一試合50Rの記録を持つ
「高校バスケ界の頂点」と称される伝説
ポジションはセンター
ずしっ・・ずしっと地響きを立てながら
リング下まで歩いて行く佐々木
「来いワンプレーだけ勝負してやる糞ルーキーが」