表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

鏡の中

掲載日:2026/07/15

古い、家なのだ。

旧家、というわけではない。

ただ古い。


不便なことが無いわけでもないが、生まれた時から住んでいる家なので、まぁ、愛着はある。


手入れをすれば、家は長持ちをする。


普段あまり使っていない部屋の掃除をしていた。

ラジオをかけながら、ザッ、ザッと畳を拭く。

すっかり色の変わった畳は、少し埃っぽい匂いがする。


掃除に熱中していると、ラジオのおしゃべりに混じって、かすかな音が聴こえたような気がした。


カタリ、コトリ。


ん?と、掃除の手を止めた。


カタリ、コトリ。


小さな音が鳴っている。


部屋には誰もいない。


いやだ、ネズミかしら?


ラジオを消して、音の方に耳をそばだてる。


カタリ、コトリ。


確かに聴こえる。

覆いを掛けた古い鏡台が置いてある辺りだ。


壁に立て掛けてあった箒を握りしめて、一歩、二歩、と慎重に近づく。

柱時計の秒針の音が、やけに大きく感じられる。


出し抜けに、声が聴こえた。


「嫌だねぇ、皺が増えたみたいだよ」


え!?


声に驚いて、咄嗟に鏡に掛けてあった覆いをバッと跳ね除けた。


「あっ!」


鏡の中。

縞柄の着物を着て、髷を結い、お歯黒をつけた年増の女が、吃驚したように声を上げて、バタバタと逃げて行った。


今の・・・何?


しんと静まり返った部屋で、私は箒を握りしめたまま、呆然と立ち尽くした。

ドクン、ドクン、と心臓が大きく音を立てていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ