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第80話 蘇我氏
この一団、葛城氏と共にヤマトへ赴き、朝廷より氏名を賜った。
応神天皇から、
「新羅での働き、大変助かった。氏名を与えるゆえ、名乗りたい名はあるか?」
「ありがたき幸せにございます。ならば我々が信ずる教えにならい『我、蘇る』と書いて『蘇我』という氏名を賜りとうございます」
イエスキリストが亡くなって百年くらいが過ぎたころ、弟子たちの努力もあって、信者は世界中に広がった。
どの宗教でも、信者が増えれば増えるほど、考え方が分派する。
キリスト教も例外ではなく、キリストが元々神であったか、それとも死後神になったかの違いで二派に分かれて論争が繰り返されていた。
ローマでは、キリストは元々神だったの説が主流であるのに対し、キリストは死後「蘇って神になった」とする説を唱える者も少なからず存在した。
前者を「アタナシウス派」といい、後者を「ネストリウス派」といった。
蘇我氏は後者である。
アタナシウス派が中心のローマをあきらめ、いまだ未開の東方へ布教の旅に出たのだった。




