第76話 イエス・キリストの誕生
弓月建国から2百年が過ぎたころ(紀元元年)、我がレビ一族の故郷イスラエルで、我々の一族が宗教上の考え方で最も影響を及ぼしたある人物が誕生した「イエスキリスト」である。
イエスはユダヤ人である。
ユダヤ人であるイエスは、ユダヤ教の信者ではないのか? 端的にいえばユダヤ教から派生していることは間違いない。
イエスは「タナハ(ユダヤ教の聖書)」の冒頭に記されている「トーラー(モーセ五書)」をよりどころとしていた。
ユダヤ教において、神から与えられた宗教・倫理・社会生活上の命令や掟を厳しく定めた「律法」を守ったユダヤ人のみ救われると説いている。
イエスの教えは大きく違う。
もちろん律法は守った方がいい。
しかし、守れなかったとしても罪に問われることはない。
律法を守る努力をし「ゴット(神)」を信じれば誰もが救われると説いた。
この教えはユダヤ人以外の異邦人に急速に広まった。
当然だが、ユダヤ人からは迫害された。
敬虔なユダヤ教信者の「パウロ」は目に鱗のようなものできて、目が見えなかった。
それでもイエスの教えが許せなかった彼は、イエスの下に行き、イエスに抗議した。
イエスは微笑みながら話を聞き、そして自説を噛み砕くように説いた。
それからパウロの目に手をあてた瞬間、目から鱗が落ちた。
この時を境にパウロの目と同時に心の目も見えるようになりパウロは回心した。
このようにユダヤ人から次々にイエスの教えに回心する者が表れ、危機を感じたユダヤ人の中から、イエスの弟子で12使徒の一人のユダヤ人「イスカリオテユダ」に窮状を、訴えた。
同族からの訴えに悩んだユダは、意を決してローマ総督府へ密告した。
「イエスキリストは、自らをユダヤ人の王であると名乗り、メシア(救世主)であると自称した」
イエスはこのようなことは言っていない。
だがローマ総督府はイエスを磔の刑に処した。
その磔に使用された十字架の上に掲げられた罪状書き「ⅠNRI」、
「Ⅰesvs Nazarenvs Rex Ivdaeorvm(ユダヤ人の王、ナザレのイエス)」は、後々になって秦一族が「インリ(稲荷)神社」として祀ることになる。
しかし、3日後イエスは、神として蘇った。




