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第71話 弓月国
ヤマトで14代、仲哀天皇が即位したころ、はるか西の弓月国では、初代弓月王、胡苑から13代目になる功満王が途方に暮れていた。
度重なる魏の曹操の攻撃に疲弊しているからだ。
ここで定住はできない。
弓月建国から定期的に交信しているヤマトへの移住を本気で考えた。
振り返れば4百年前(紀元前3世紀)の初代弓月王のころから、弓月の国は苦難の歴史の連続だった。
徐福が倭国(日本)へ旅立ったあと、20歳になった始皇帝の孫、初代弓月王胡苑は、弓月国のかじ取りをつつがなく勤めていた。
徐福と共に養蚕を始め、糸を紡ぎ、機を織り、はるか西のパルティアやローマに売りに行った。
元々レビ一族は商人として秦に入った。
ひょんなことから呂不韋の子が中華を統一する初代皇帝になり、レビ一族は官僚や軍人になったが、商売を忘れたわけではない。
少しずつ販路広げ、やがてローマに通じる道は絹の道、シルクロードと呼ばれるようになった。
胡苑は生まれ育った秦の国が滅びてしまったことは悲しいが、親の仇、趙高が3代目皇帝の子嬰によって殺害されたことにほっとしていた。




