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第66話 桃太郎(イツセ)伝説
次に抵抗してきたのは、吉備(岡山)の旧出雲族だった。
大国主から国譲りされたと言っても、すべての出雲族が従ったわけではない。
吉備を拠点に度々ヤマトへ攻め入っている一団がイツセとイワレビコの一行に襲いかかったのだ。
今度は陸戦だが、安芸の海戦でたくさんの兵が失われたため、苦戦を強いられた。
こちらの戦いの中心はイツセだった。
イツセの放った矢は百発百中だ。
出雲族は徐々に防戦の姿勢を取り、8年後全面降伏した。
出雲族のほとんどはイツセとイワレビコに服属し、やがてイツセを題材にした物語が語られるようになった。
桃太郎伝説である。
イツセの曾祖母はコノハナサクヤヒメである。
伝説によればコノハナサクヤヒメは桃しか食べない偏食だった。
一説には桃の化身と言われている。
その子孫の長男だから「桃太郎」と名付けられた。
桃太郎ことイツセは、ヤマトにいるナガスネヒコを退治に行くという目的のために高千穂を旅立った。
高千穂から見てヤマトは北東の方角に位置する。
いわゆる丑寅の方角である。
ゆえにナガスネヒコの頭には牛の角が生え、口には虎の牙がある鬼と定義された。
鬼門とされる北東に対抗するには、裏鬼門とされる申(九州・南西)、酉(安芸・西)、戌(吉備・北西)の家来を連れて行くという物語だ。




