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第53話 「馬鹿」の語源

阿房宮(あぼうきゅう)から眺める(かん)(よう)の町は壮観だった。

何もかもうまくいった(ちょう)(こう)は、我が世の春を謳歌していた。

(えい)(せい)の暗殺は肝を冷やしたが、李斯(りし)を制圧することで、とんとん拍子にことは進んだ。

咸陽へ入城し、嬴政の崩御を宣言するとともに、偽の遺言を読み上げ、()(がい)を2代皇帝に祭り上げた。

胡亥は趙高の洗脳が効いているせいか、操り人形と一緒だった。

趙高を丞相(じょうしょう)にして、政治は任せきり、自身は後宮から離れなかった。

男の大事な部分を切り落とし、性欲を満たすことができない宦官(かんがん)にとって、何よりも欲しいものは財力と権力、それを手に入れるためならなんでもする。

ある時、阿房宮に鹿を連れてきて「珍しき馬を見つけた」と重臣の前に披露した。

当然、重臣は笑い飛ばし「馬ではなく鹿だろう」と言ったが、兵士が現れて笑った重臣を切り捨てた。

趙高が鹿であっても馬と言ったら馬なのだ。

後の世で「馬鹿」の由来となった逸話を残すような締め付けを繰り返した。

長い間、宦官の職にあって、政治も軍事も素人な趙高は、失政を繰り返した。

税の入りが悪くなったら増税。

少しでも法を破れば極刑等々。

周りの役人も兵も離れてゆき、とうとう農民による反乱が勃発した。


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