第48話 サルタヒコ、アメノウズメとの出会い
翌日、鹿島の森には数百人の若き男が集められた。
徐福は、
「これより戦に必要な武術を伝授いたす。我が一族の将軍サルタヒコが指南いたす」
一同はどよめいた。
サルタヒコの姿形があまりにも異様だったからだ。
背丈は6尺6寸(2メートル)、顔は赤く鼻は1尺(30センチ)。
彼はやがて天狗のモデルになった。
訓練は過酷なものだった。
木刀での打ち込みを千回。
槍の突きも千回。
さらに槍の使い方。
弓の使い方を一通り習った。
やがて、基礎訓練が終了すると集団行動に移った。
槍を持った兵が、横に十人、それが十列、計百人が密集部隊を編成し、先頭の十人が槍を突き出し敵に向かってゆく。
この戦法はアレクサンドロス大王の戦い方だ。
こんな戦い方を知っているのはレビ一族しかあり得ない。
そうなのだ、サルタヒコの祖父は王翦率いるレビ一族の親衛隊だったのだ。
サルタヒコの祖父はヘブライ人であり、妻はペルシア人だった。
そして、サルタヒコの父もまたペルシア人の妻をめとった。
ゆえにサルタヒコは赤ら顔で鼻が高いペルシア系の顔立ちなのだ。
鉄の精錬も始めた。
日高見国の北、蝦夷地の南部地方に良質の砂鉄を発見した。
たたらを組み立て、炉を作り、剣や槍を数百本作った。
そんな生活が一年間続いたとき、夜でもないのにだんだん暗くなり始めた。
「大変だ、天照大御神様がお隠れになるぞ(日食)、アメノウズメを呼べ」
ニニギが叫んだ。
やがて、美しき娘が現れ、榊を手に持ち太陽に向かって踊り始めた。
最初は優雅に踊っていたが、日食が進んでくるとだんだん激しく踊りだし、しまいには乳房をあらわに踊り狂った。
その光景があまりにも滑稽だったため、人々は笑い転げた。
だが、サルタヒコだけは、もともと赤い顔をさらに赤くして、うっとり見とれていた。
やがて日食は終了し、アメノウズメは精根尽きて地面に倒れた。
サルタヒコは駆け寄り抱きかかえ、
「アメノウズメよ、素晴らしい舞であった。ワシはそなたに惚れた。妻になってくれ」
「サルタヒコさま、嬉しゅうございます。ですが、私は巫女ですので、ニニギ様のお許しが……」
「大恩あるサルタヒコ殿の願いだ。もちろん許す」
ニニギが答えた。




