表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/88

第45話 不死山(富士山)

やがて、姉のイワナガヒメとおぼしき娘が現れた。

イワナガヒメとおぼしき娘は、妹のコノハナサクヤヒメとは似ても似つかぬ、がっちりした体形で顔は大きくて真四角。

どう見ても男だ。

「話は妹から聞きました。なんでも仙人が煎じる不老不死の妙薬をお探しだとか。はっきり申します。仙人もおりませんし、不老不死の妙薬など存在しません。数年前、海を隔てた西の国の方が、あなた方と同じような質問をなさいました。私も今のように答えたのですが、あまりにもしつこいので『仙人がいるとすればこの山そのものです。そしてこの山は死にません、この山は不死山です』とお答えしたところ、どう解釈されたかは不明ですが、うつむいて帰って行かれました」

「イワナガヒメ、私は徐福(じょふく)と申します。私も西の国から来ました。話は理解しました。どうやら偽の情報に踊らされたみたいです。それはそうと不老長寿の食べ物があるとか?」

「はい、これです『明日葉』と言います。私はこれしか食べません。おかげさまでこの美貌。体調はすこぶる良好です」

顔や体形はともかく、肌はすべすべだった。

こうなるとひとつ疑問がわいた。

徐福は、

「この明日葉は、コノハナサクヤヒメも食されておるのか?」

「いいえ。妹は桃しか食べません。良かったらこの明日葉を差し上げます。代わりにと言ってはなんですが、ひとつお願いがございます。夏至の日、蓬莱山(ほうらいさん)から昇る朝日のはてに日高(ひだか)()(こく)の鹿島があります。そこの(おさ)、ニニギ殿を私はお慕いしております。この明日葉を届け嫁ぎたいのですが、陸路では明日葉が腐ってしまいます。どうか徐福さまの船で連れて行ってください」

徐福は、思いがけない申し出に喜んだ。

不老不死の妙薬を手に入れるのは副次的な目的だ。

本来の目的は、この()(こく)にレビ一族が移住して、倭国の民と共存共栄することにある。

だが、その前に適した場所なのかを調べることと、この地の統治者に共存を認めてもらうことにある。

倭国の勢力は、大きく分けて三つの勢力に分けられる。

一つは(しん)(こく)から渡ってきた渡来人が、複数の集落を築いた九州地方。

もう一つは蓬莱山から西の出雲地方。

統治者、大国主(おおくにぬし)は我々を受け入れてくれそうだ。

そして、蓬莱山から東は日高見国だ。

おそらく倭国で最大の勢力であろう。

蓬莱山の仙人から不老不死の妙薬を手に入れたあかつきには、そのまま日高見国へ向かうつもりでいた。

妙薬は手に入らなかったが、イワナガヒメからの申し出は、まさに渡りに船だ。

「イワナガヒメ、承知致した。ただし、ニニギ殿は桃が好みかもしれないゆえ、コノハナサクヤヒメもご同行願えないか?」

「徐福さま、ありがとうございます。もちろん妹も連れてゆきます」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ