第43話 蓬莱山への旅立ち
三年が過ぎた。
出雲の地は前とは格段に変わった。
米の収穫量はそれまでの十倍、栗やどんぐりを主食としていた民衆は、米を主食にするようになった。
竪穴の家屋もちらほら木造に変わっていた。
大国主は大変喜んだ。
目的をとげた徐福は、
「大国主殿、国造りのお手伝いは大体終了しました。予定通り蓬莱山へ向かいます」
「徐福殿、そなたは間違いなく神だ。蓬莱山へ行き目的を達成したあかつきには、必ず出雲へ戻ってきてくだされ。お願いじゃ。そして天叢雲剣を受け取ってくだされ。ワシができる最大の謝礼じゃ」
徐福は、天叢雲剣を受け取り、丁重に挨拶して蓬莱山へ向かった。
蓬莱山へは船で行くことにした。
長門から瀬戸内海へ入り、東へ進むと河内に突き当たった。
河内を川伝いに進むとヤマト国がある。
実はこのヤマト国、大国主から管理を任されていた。
3年の間、出雲周辺に、レビ一族が移住するのにふさわしい地を探していた。
大国主は3年の間、ただ国造りをしていたわけではない。
少しずつではあったが、領地を広げることも忘れなかった。
このヤマトの地を攻め取ろうとしたとき、同行を求められた。
秦国から連れてきた兵2百人を借りるためだ。
2千人連れてきたが、大国主と戦う必要がなかったため、2百人を残して秦へ帰した。
ヤマトの国との戦いは、戦いと呼ぶほどのこともなく終了した。
鉄の甲冑を着て、鉄の剣を持つ2百人の兵が横に並んでいる姿を見ただけで、領主は降伏した。
そして、そのまま管理を任されたわけだ。
管理を任されて、あらためてこのヤマトの地を見てみると、大和川から河内へ抜けると、瀬戸内海と言う穏やかな海に出ることができる。
もしかしたら移住するのに適した地かもしれない。
徐福は一年前を思い出しながら紀伊半島を東へ向かった。
紀伊半島は陸から離れないように気を付けた。
うっかり沖へ出ると潮に流されて、とんでもないところまで行ってしまうことが分かっているからだ。
やがて、蓬莱山の雄姿が姿を現した。




