第42話 徐福による国造り
徐福に対して長い話を終えた大国主は天叢雲剣を見せた。
「素晴らしい剣ですね。あなたが神であることは良く分かりました。それでは明日から国造りをお手伝いします」
徐福はすべてを悟った。
この地方で戦いもなく統治がなされているのは、ひとえに統治者が神であると民衆に思わせているからに他ならないと……。
翌日、徐福は川のそばまで来ていた。
水田を耕作しようと思ってのことだ。
倭国に水田の技術はない。
しかし、米はある。
陸稲である。
陸稲は、生長が遅く茎が細い、したがって一粒のもみからわずかしか米はできない。
水稲は生長が早く茎が太いので多ければ一粒のもみから百粒以上の米を収穫できる。
徐福と技術者は、出雲の民衆を集め、川の傍で土を耕し、田んぼを作り始めた。
徐福一行は鉄の鍬で、出雲の民衆は木の鍬で、一心不乱に田おこしを始めた。
その中に、ひときわ美しい娘が、袖たすきをして、着物の裾を帯に挟んで、木の鍬を使って田おこしをしている。
徐福は見とれてしまった。
この娘こそ大国主の娘「タカテルヒメ」である。
その日の作業が終わり、川で足を洗っているタカテルヒメに向かって徐福は、
「タカテルヒメ、そなたはなにゆえ民衆に混じり、鍬をふるっているのだ?」
「徐福さま、私は女でございます。いずれ殿方の下へ嫁ぎます。その殿方の下には米を作ってくれる民衆が多数いることでしょう。私はその方々が少しでも多くの収穫ができるように、徐福さまから学ぼうと思いました。いけませんか?」
徐福は感動した。
この出雲の地にこれほど聡明な娘がいるとは、
「タカテルヒメ、私の妻になってくだされ」
徐福とタカテルヒメは結ばれ、やがて男の子が産まれた。
その子は成長し、やがて物部の姓をもらい、倭の国の重要な豪族になってゆく。
徐福は、鉄の精錬も始めた。
鉄を精錬ができる技術者が出雲に流れる川の砂から砂鉄を発見したからだ。
粘土を固めて、大きな炉を作り、そこに砂鉄を置き、大量の木材をその上に置く。
そして火をつけるのだが火力が弱い。
そこで炉の中央に小さな穴を開け、粘土で管を作り「たたら」と呼ばれる板まで通す。
たたら板を左右の二人が交互に踏むことによって風を炉に送り火力を強めるのである。
砂鉄が溶け出すまで熱したら、炉の下部に穴を開け、粘土で作った剣や鍬などの型に流し込み、鉄の塊で作った槌で形を整えられれば出来上がりだ。




