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第39話 因幡の白兎

須佐之男(すさのお)降臨から6代が経過し、大国主(おおくにぬしの)(みこと)が産まれた。

須佐之男が数多くの子孫を残したため大国主命には多数の従兄弟、特に多くの兄たちがいた。

それらを総称して「八十(やそ)(がみ)」と呼ばれた。大国主命は聡明で心優しかったため、八十神たちから疎まれた。

やがて、大国主が青年になったころ、因幡(いなば)の国にそれは、それは美しい「ヤガミヒメ」という娘がいることを知った。

大国主は嫁にしようと思い、因幡まで出かけることにした。

だが、ヤガミヒメを嫁にしたいのは八十神たちも同じだった。

彼らは、大国主に荷物を持たせ、自分たちの後から来るように大国主へ命令した。

ヤガミヒメに求婚しようと、先を急ぐ八十神たちであったが、因幡の海岸に皮の剥がれたウサギが泣いているのを発見した。

このウサギは隠岐(おき)に住んでいたらしい。

本土に渡りたくてワニ(サメ)たちに、

「数えてやるから一列に並んで……」

と言って一列に並ばせ、イチ、ニ、サン、シ…… と背中を調子よく飛び跳ね、最後のワニから飛び跳ねようとしたとき、あろうことか最後のワニに対して、

「愚かなワニさんたちだな。私は渡りたかっただけよ」

怒ったワニは背中をゆすり、海中へ引き込むと皮を剥ぎ、浜辺に放り投げた。

八十神たちは、

「それなら、もう一度海水に浸かって、その岩の上で潮風にあたれば直るよ」

ウサギはその通りに実行した。

そうしたら体が真っ赤になり、前よりひどくなった。

そこへ大国主が重い荷物を背負ってやってきた。

「オィ、どうしたのだ、その体?」

ウサギは事情を話した。

「そうかぁ。兄さんたちは、ひどいことをするなぁ。まったく逆だよ。川の上流の真水で体を洗い、そこに生えている蒲の綿毛を引きつめ、そこに寝てれば直るはずだよ。ぼくも手伝うよ」

ヤガミヒメの住む館と逆方向ではあったが、柔らかな布にウサギをのせ、川の上流へ向かった。

ウサギが川で体を洗っている間、蒲の綿毛を集め、ふかふかの蒲団を作った。

ちなみにこの逸話から寝具のふとんを「蒲団」と書くようになった。

ウサギは蒲団で横になっていると、みるみるうちに白い毛がはえてきて元の白兎に戻った。

白兎は、

「大国主さま、本当にありがとうございました。実は、今までのいきさつすべてヤガミヒメから頼まれたことなのです。多くの殿方が求婚にやってくることはヤガミヒメもご存じでした。しかし、どの方を選んでよいのか分からず、私を使って試しました。さあ、ヤガミヒメの下へ一緒に参りましょう」

白兎の話を聞いたヤガミヒメは、大国主の前に行き、

「大国主さま。どうか私をもらってくださいませ」


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