第27話 嬴政の父「荘襄王」の即位
趙国に帰った呂不韋は驚いた。
嬴政と趙姫が既に秦国へ返されているからだ。
昭襄王が、昨年崩御されたのは知っていた。
1年間喪に服した安国君が、そろそろ王位に就くだろうと思っていたが孝文王になった安国君は、わずか3日で崩御したとのことだ。
荘襄王になった嬴政の父、子楚は慌てふためいた。
太子になって1年、それすら満足に準備できていない子楚だったが、いきなり王である。
どうしてよいか分からなかった。
そんな混乱の中、7国の申し合わせで太子になった嬴政が、人質から解放された。
嬴政も混乱していた。
無理もない、物心ついた頃から逃亡の生活だ。
挙句の果ては、牢屋に入れられた。
それが突然太子である。
父親同様どうしてよいか分からなかった。
やがて、呂不韋も合流した。
荘襄王は約束通り呂不韋を丞相に取り立てた。
丞相とは、王を補佐して政務を執り行う、いわば王に次ぐ地位である。
荘襄王の秦は、やはり問題が続出だった。
第一に兵が言うことを聞かない。
一昨年まで、昭襄王が指揮する強い軍隊だった。
次の孝文王はいいとしても、昭襄王が散々馬鹿にしていた異人が荘襄王だと言われても、従う気にはならなかった。
しかも、丞相がどこの馬の骨か分からない呂不韋とあってはなおさらだ。
呂不韋は月氏から王翦を呼び出し、将軍に据えた。
だが、5千の兵ではどうにもならなかった。




