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第24話 ユダヤの商人、呂不韋

アレクサンドロス大王が侵攻してから百年が過ぎたころ(紀元前3世紀)、レビ一族が向かった東の端、中華の国は、(しゅう)が衰退し(えん)(せい)(かん)()(ちょう)()、そして(しん)といった7つの大国が覇権を争っていた。

7つの大国のどこかに取り入ろうと考えていたレビ一族の中心人物、呂不韋(りょふい)は趙国にいるある男に目を付けた。

秦国の公子(こうし)(えい)異人(いじん)である。

公子とは、王族の子や孫である。

秦の(しょう)(じょう)(おう)は、趙との(あっ)()の戦いに敗れ、仕方なく人質を送ることを決めた。

人質は、今後攻め込む意思がないと、太子の安国(あんこく)(くん)を送るのが通常であるが、7国の申し合わせで太子は人質にしてはならない決まりがある。

それに一時的な敗戦で趙をあきらめるような昭襄王でもなかった。

趙に攻め入り、人質が殺されても構わない公子選びはすぐに解決した。

太子の安国君が、卑しい身分の妾、()()との間に産ませた異人であれば、万一殺されても構わぬと思ったからだ。

異人は、趙に着くなり冷遇された。

常に監視され、生活費もままならない状態だった。

そんな暮らしが数ヵ月続いたころ、異人の前に呂不韋が現れた。

「あなたは、秦の公子、異人殿ではありませんか」

「そうだが、お前は誰だ!」

「商人の呂不韋と申します」

「呂不韋とやら、私に何か用か?」

「異人殿。あなたは秦王になりたくありませんか? もし、それがお望みなら、私が叶えて差し上げます」

「おかしなことを申すな。確かに私は昭襄王の孫ではあるが、母は卑しい身分の妾であるし、兄弟は私の他に19人もいるではないか。そんな私が秦王になれるわけがない」

「何事も私にお任せください。とりあえず、この銀子をお渡しします。この金で趙の有力者の人脈を作ってください。そのうえで私に策があります」

「分かった。言うとおりにしよう。そして、私が秦王になったあかつきには、そなたを重鎮に迎えようぞ」

異人は、貰った金で趙の重臣たちをもてなし、高価な土産を、毎日のように持たせた。

やがて、趙の重臣たちは、異人の接待と土産を目当てに、どんどん集まるようになった。

この状況をよしとした呂不韋は、次なる策を実施するため、異人の父、安国君の正妻、()(よう)夫人(ふじん)に接近した。

華陽夫人には子がいなかった。

呂不韋は直接、華陽夫人に会うことはできなかったが、華陽夫人の信頼の厚い実の姉に会うことができた。

華陽夫人の姉は、優雅な暮らしをしている妹と違って、三度の食事に困らない程度の質素な生活をしていた。

だが妹にあこがれる姉は金銭に対して強欲だった。

呂不韋は、華陽夫人の姉の下に行き、米を十年分は買える金銀を姉の前に積み上げた。

「初めまして呂不韋と申します。本日は妹君に重大な話を持ってまいりました。これは、お近づきのしるしです。どうぞお受け取り下さい」

「なんですの? 妹に話があるなら直接行けばいいものを、なぜ私なんかに……」

「実は、面会を申し込んだのですが、断られまして…… 話と言いますのは、後継ぎのことでございます。妹君には現在、子がおりません。このままいけば20人のご兄弟が跡目争いで内乱が起きるのは必定。また、妹君が年と共に美貌を失えば正妻の座も危ぶまれることでしょう。そこで養子をお迎えになってはと言う提案です。現在、趙国に異人という公子がおります。人質ではありますが、趙国の重臣に大変厚い信頼を得ています。彼を養子にすれば、趙国に戦を仕掛けなくても取れるかもしれません。そのことを妹君にお伝え頂けないでしょうか? お聞き届け頂いたあかつきにはお手元の金銀の2倍の金銀を差し上げます」

華陽夫人の姉は、さっそく宮殿へ向かった。

金に目がくらんだのか、粘り強く妹を説得して、とうとう異人を養子にすることを認めさせた。


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