第21話 エデンの園
アッシリアに滅ぼされたレビ一族だが、一族数万人すべてが東へ向かって旅立ったわけではない。
アッシリアに捕囚され奴隷となった者。
フェニキア人と交わり、アテネやカルタゴへ向かった者。
そして、アラム人と交わり商人となって東へ旅立った者。
ともかく混乱の中セム系三民族は交わり、それぞれの特殊能力を補強しあい、優秀な民族へ変貌していった。
秦一族に通じるレビ一族は、主にアラム人との混血が多い。
しかし、絶対神ヤハウェを信じる信仰は忘れない。
タルムードと呼ばれる口伝により、アブラハムから続くユダヤ人の歴史は伝えていかねばならない。
我々はこのような共通の信仰があるおかげで、ちりぢりになっても連絡は取り合っていた。
なにはともあれ、古くから言い伝えられている、東の果ての「エデンの園」へ一族を定住させるため、とにもかくにも東へ向かった。
我々レビ一族を含むユダヤ人たちには、暗黙の了解があった。
それは、決して頂点には立たないことだ。
たとえある国が弱く、簡単に滅ぼせたとしても、その国に元々住んでいた者たちが、やがて反乱を起こすかもしれないし、他国から攻められる危険性もある。
国を維持するのは大変なことだと分かっているからだ。
攻め落とした国の国民に我々と同じ宗教に入信させれば、宗教を通じて統治することも可能だが、唯一神「ヤハウェ」を心の底から信じる者しか救われない「ユダヤ教」での統治は困難だ。
ゆえに、我々の取った方法は、その地の権力者に取り入り、その地の国民が信じる宗教の中にユダヤ教を織り交ぜることによって生き残る道を探っていくことだった。
我々ユダヤ人の迫害の歴史の中でそうするより仕方がなかったのだ。




