7.アンケート集計
会議が終わると、編集部は一斉に動き出した。
柚月は自分のデスクに戻り、木村の原稿を一旦保留にした。
先輩の永瀬がアンケート用紙の束を抱えて渡してきた。
「集計お願いするわ。俺はこっちを集計する」
永瀬はアンケートの束のひとかたまりをとって柚月の近くに座った。
「今日の会議、編集長すごかったな」
「鬼でしたね。永瀬先輩は今書いてくれている先生に打ち切りを言いに行くんですよね。つらい仕事ですね」
「ああ、でもまだ起死回生の方法はある」
「どうやるんですか?」
柚月がアンケート用紙から目を離し永瀬に疑問を呈した。
永瀬はアンケート用紙をまじまじと見つめながら迷いなくいった。
「面白かったら続く。今の中堅をきらさないように華々しいラストを描いてもらってくる」
「永瀬先輩、すごいです」
「中堅の維持見せてやる。柚月も大変だぞ。大型新人をしっかり教育しろよ」
永瀬が檄を飛ばし、
「その新人をどういうふうに育てればいいのか方向性がきまってないんです」
柚月が恥ずかしそうにアンケート用紙に目線を落とす。
「じゃあ、このアンケートを参考にしたらどうだ。この雑誌の一番の読者だ。わざわざ葉書に書いてポストにまで送ってくれたファンだからな」
「永瀬先輩のいうことはわかります…けれど数字につながりますか」
「繋がらないだろな」
永瀬はあっさり認めた。
「だから困ってる」
二人の間に、紙をめくる音だけが落ちる。
「ですね」
永瀬も柚月もなんとなくおかしくなり、こんな状況なのに二人して笑った。
両松葉難しい。松葉杖は結構体力使います。




