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失われた断片 ― 風の環 ―  作者: 半々月光
ビグトラス島編
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第6話―封鎖区――暗焔の声と夢の消散

˃ 第六話へようこそ。

 祝祭の光と影が交錯する場面から物語は始まります。花火が咲き誇るその裏で、もう一つの出来事が静かに目を覚まそうとしているんです。

 君ならどちらを見る? 華やかな花火か、それとも暗闇に潜む声か。

 その問いを胸に、この章を読んでみてください。」

時間:3670シヴン年 12月24日 PM 17∶15

場所:ビゴトラス島・最下層 エネルギー封鎖区


夜の帳が完全に降り、港の灯火が水面に咲き誇る。紫金しきん銀白ぎんぱくの花火が交錯して空へ昇り、海霧うみぎり全体を照らし出す。街路は群衆で埋め尽くされ、音楽、香り、笑い声が幾重にも重なり、風さえも甘さを帯びていた。


だが、その歓騰かんとうの下で――もう一つの祭典が、静かに目を覚まそうとしていた。


パミラ最下層・エネルギー封鎖区。


それは正式な地図から抹消された空洞であり、廃棄された導能層どうのうそうを改築して造られた円形の会堂だった。深緑の穹頂きゅうちょうは亀裂だらけの導晶どうしょうに覆われ、残留する符文が微光を放ち、まるで疲れ果てた心臓がまだ呼吸しているかのようだった。空気には金属と埃の匂いが漂い、中央には原晶を切り出して造られた円卓が浮かび、ビゴトラス島全体の輪郭を投影していた。


淡白な光脈こうみゃくが半空を流れ、一つの球体がゆっくりと回転する。その表面には藍亞ランヤ古文字が刻まれ、光は呼吸に合わせて明滅し、まるで指令を待っているかのようだった。


光が半空に流れ、やがて一つの人影を描き出す。

男は投影円卓の背後に立ち、黒い長いコートを静かに垂らしていた。そのサングラスは球体の青光を反射し、鏡面の下から微かな輪郭が透けていた。


彼は手を上げ、サングラスを外す。


その双眸――人間の色ではなかった。


顔は血色を失い、磨かれた石面せきめんのように冷たく硬い。毛穴はほとんど見えず、青い微光が皮膚の下層から滲み、頬骨きょうこつ鼻梁びりょうに沿って流れていた。鼻梁は細く真っ直ぐ、頬骨は鋭く収束し、あごの線は冷たい金属で刻まれた均整を思わせた。


虹彩こうさいは極めて淡い灰青、眼白は冷たく、瞳孔の奥には藍亞ランヤ文字の微光が浮遊していた。まるで古代の符紋ふもんが血管に刻まれ、生体の温度によって駆動されているかのように。光は眼の奥から外へ広がり、周囲の青光を吸い込むことで顔全体をさらに冷厳に見せていた。唇は薄く、輪郭は鋭く整っていた。彼が口を開くと、その低い声は金属のような震えを帯び、瞳に刻まれた符紋と共鳴した。


周囲は静まり返り、導晶どうしょうの低い唸りさえもその気配に押し潰された。

男はわずかに身を傾け、低い囁きが空気に広がった。


「なるほど……これが本当の声か。」


その語調は静かでほとんど冷淡だったが、長く待ち望んだ満足を含んでいた。

口元がわずかに上がり、かすかな笑みが空間全体を締め付けた。


「ゴン、ゴン――」


重い足音が空間に響き、冷たい金属を叩くようだった。

金属の卓面が微光を映し、暗闇に冷白の線を引いた。

音が近づくにつれ、高大な鳥首ちょうしゅの人影がゆっくりと影から浮かび上がった。


翼が闇の中で広がり、羽先はやいばのように鋭い光沢を放った。

彼の体躯たいくは細長くも重厚で、肩背けんぱいは広く、深色の戦衣せんいに覆われ、その布の縁は長年の摩擦で粗くなっていた。

鳥のくちばしは光影に金属の反射を宿し、線は鋭く、空気さえも切り裂くようだった。

眼差しは深く、瞳孔は捕食者ほしょくしゃのように前方を捉え、冷厳れいげんな圧迫感が歩みと共に迫った。

声は低く、冷徹れいてつな響きを帯び、胸腔きょうくうの奥から響き出て、人々を思わず息を止めさせた。


「閣下、港区の作戦計画はご指令通りに完了いたしました。歓喜が最高潮に達した時――人々は光のように消え去るでしょう。」


「よくやった、ガラド。」


「百年祭は島が最も輝く時だ。そして光は――影を消し去るための最良の覆いとなる。」


「本当に人前でそれを起動なさるのですか? そうすれば必ず人々の注目を集めます……」


ガラドは翼を収め、抑え込んだ疑念を瞳に宿した。


「注目があるからこそ、演出に価値がある。」


彼の声は淡々としていた。まるで一冊の書をめくるように自然であり、その一頁には無辜むこの終章が記されていた。


「やれやれ、またその厳しい顔ね。

 男って本当に表現の美しさをわかってないわ。」


その時、柔らかくも戯けた声が暗がりから響いた。


少女がゆっくりと姿を現した。十三、四歳ほどに見えるが、細い体躯に不釣り合いな艶めかしさを帯びていた。

深緋しんひの髪は暗がりの中で黒金の光を放ち、肩に柔らかく垂れ、毛先はわずかに跳ねていた。

顔は白く透き通るようで、五官は精緻。金紫の瞳には、大人びた計算と戯れ心が揺れていた。

唇の端には常に微笑の影があり、世の中に彼女を真剣にさせるものは何一つないかのようだった。


白紫の長衣は薄く身体に沿い、胸元の符文ふもんは呼吸に合わせて淡く光った。

彼女は円卓の光影を軽やかに踏み、歩みそのものが舞台の演目のようだった。


「花火と悲鳴が同時に咲き乱れる方が、最も完璧な祭りだと思わない?」


ガラドは首を傾けて少女を見やり、羽喙うしは微光に冷厳な反射を返した。


「ポ……」


その声は途中で断ち切られた名のように、最初の音だけを残した。


鳥首の男――ガラドの声は低く、すぐに続けた。

「命令に従えばいい。余計なことはするな。」


「余計なこと?」


少女は軽く笑った。その声は羽根が金属を擦るように、柔らかくも挑発的だった。

手にした杖をゆるやかに回し、指先から零れる光点は空気の中で跳ね、小さな火花のように不安を煽った。


「私はただ、彼らが消える前に夢を見せているだけよ。」


その調子は軽快だが、張り詰めた弦を弄ぶようだった。


男が手を上げた。その動作は極めて単純だが、空間全体の呼吸を押し潰すようだった。

青光が瞬時に広がり、円卓を包み込む。冷厳な紋が表面を流れ、氷の層が結晶するように走った。


「もういい。」


その声は冷たく、揺らぎなく、水が石の隙間に染み込むように抗えなかった。


球体は微かな裂ける音を立て、まるで暗闇で骨が折れるようだった。

符文が次々と輝き、光は隙間から滲み出る。血が皮膚に染み込むような、不気味なほど親密な感覚を伴って。


男の威圧の下、ガラドと少女は同時に頭を垂れた。

場の空気が張り詰め、呼吸さえ余分に思え、誰も一言も発せなかった。


「花火は咲き、人々は歓声を上げる――」


男の唇がわずかに持ち上がり、笑みは霧のように淡かった。


「そして彼らは、最も眩しい一瞬に、自らの存在を忘れるだろう。」



˃ 暗焰の下に広がる空洞で、何かが静かに計画されている。

それが何なのか、まだ誰も知らない。男子が口にした言葉は、影の中で揺らめき、答えを隠したままだった。


最後まで読んでくれてありがとう。


今回の話では、冷たさと美しさを同時に描こうとしました。


「君はどう感じただろう?」

不安? 緊張? それとも疑念?


答えは声に出さなくてもいい。心の中で返してくれれば、それだけで十分です。


その沈黙の返事こそが、僕にとって一番の報酬なんです。


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