世界で一番のガチクズ野郎にド本気の『ざまぁ』してやりましたわ!!
「───ジェイ・ブライアン。罪状。不倫、王家の金の横領、貴族への賄賂、窃盗、暴力……その他あらゆる物が挙がっている」
「これでお前は終わりよ! こんな最低男とは婚約破棄するわ!」
「ぎょええええええ!?!?」
メルティ・ルクセンブルクがそう言うと、ココは裁判所であるにもかかわらず盛大な拍手が巻き起こった。やってやったぜ、という爽快な感覚が彼女の胸を突き抜ける。
「お、お願いだ……メルティ。俺はまだお前とやり直せると思ってる」
「嫌ですわね、私は貴方とやり直せる気がしませんもの」
「今度から優しくする!」
「それは何回目の台詞ですの?」
しっかり数えてあった。ノートにも記録してある。ジェイが彼女に暴力を振るったり、不倫がバレて逆ギレしたあと『今度から優しくする』と言った回数は、なんと1229回。
証拠と回数を裁判官が読み上げると、会場は一気にざわついた。
「1229回……?」「ちょっと最低すぎない……?」
それに対してジェイが「これは何かの間違いだ! いや、合ってるかもしれないが。本当に今度からは優しくする!」と弁明するが火に油。
「ふざけんな、このクソ野郎!」と罵声が上がるだけだった。
「えーと静粛に、では裁判を続けます」
裁判官である初老の男は続けた。
「ジェイ・ブライアンさん。貴方の罪状の一つに、王家の金の横領とありますが事実ですね?」
「違う! そんな事はしていない!」
「ただでさえ王家の金の横領となると死刑が当たり前の判決となるのですが、その上さらに嘘をつかれた場合は……」
「分かった、分かったから!! 俺は横領した!」
「では、何円ほど横領しましたか」
裁判所に一瞬の静寂が訪れ、ジェイは一言呟いた。
「1500万円ぐらい……」
「なるほど。しかしこの調査書には8兆6500億1500万円の横領と書いてありますが、調査ミスでしょうか?」
彼の言葉によって再び、裁判所がざわつく。真偽は分かりきったことだった。
「調査ミスだ! そんなやってない!」
「しかし王家金融を司る高位の者からの見解、証言だけでなく……貴方の不倫相手である人たちからの証言もありますが。曰く、『俺は国から8兆円盗んだ。だから世界最高峰の車を買ってやったぜ』と」
"これは事実ではないのですか?"
問い詰めるように裁判官はジェイに言った。会場のざわつには収まる事を知らず、ヒートアップするばかりだ。
「……じ、事実です」
「では更にもつ一つ、ってどんだけやらかしてんだコイツ。ちょっとクズすぎー……」
「は?」
「ごほん、では改めてもう一つ確認させていただきます。貴族への賄賂についてです」
「はい」
「貴方は総勢2098名の貴族に対し合計3兆円の賄賂を渡し、その代わりに不倫相手の選定や、奴隷の譲渡、武器の密輸などをしていたのと報告が挙がっています。事実ですか?」
ざわざわ……ざわざわ……。
「ぜ、全部事実ですっ!」
「賄賂を渡す際に貴族の邸宅へ行った際、絵画や彫刻品といった計5068個(14億円分に相当)の美術品を窃盗したことも事実ですか?」
「じ、事実です!」
「そうですか。では判決を下します」
「はい……」
「婚約相手への虚言1229回、王家の金の横領総額8兆6500億1500万円、貴族への賄賂総額3兆円、美術品の窃盗計5068個(14億円分)より……判決は」
「は、判決は」
「死刑では生ぬるいので、懲役5京年+一生刑務作業+毎日飯一食+地位を全て失う+所有物、土地などを全てメルティ・ルクセンブルクに献上する。以上となります」
「う、嘘やん……」
彼の唯一やってない事といえば国家反逆ぐらいだが、今の彼は……それぐらい簡単にしてやるという気概でいた。
それぐらいの絶望を彼はしていたのだ。
裁判所にて膝から崩れ落ちる元婚約相手を見て、メルティは言った。
「ざまぁぁぁぁぁああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
少しでもクスりと笑ってくれた方がいれば、ぜひ評価よろしくお願いします。