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天鬼ざくろのフリースタイル  作者: ふみのあや
8/16

~幕間~ 妹は希望へと

【思い出すあの頃 集団に属せなかった

 時は過ぎいつの間にか俗世からは糾弾

 今じゃもう立派な社会不適合者

 ステージだけは無敵王者

 敷かれたレールなら全て淘汰

 大抵の未知は既に通った 

 満ち足りぬ末に亡者になった


 わからない

 これからどうすればいい すべきことは

 わからない

 今日もひとり夕暮れに問うた


 ──CReal/Dear My Outsider】




 あにぃが大好きだった。

 自分と違って人前で堂々と話せて、思ったことをそのまま臆せずに口に出せるあにぃは天ちゃんのあこがれで、理想の人で、神様だった。

 だって、天ちゃんは。よわい。きもい。まともじゃない。

 誰にも逆らえないし、嫌だと思っても嫌だって言えない。

 だから自分よりも強い人に立ち向かっていくあにぃを見ていると、わくわくした。心が熱くなった。

 やっぱりヒップホップの世界は怖い人がけっこういて、不良っぽい人も多い。そんな人たちにむかって、全然ビビらずに音楽で戦っているあにぃは絶対にどのヒーローよりもかっこよかった。

 バトルが終わったあとに、やんちゃな人たちに報復でボコボコにされたりも何回もしてて、すごく心配したことも何回もあったけど、それでも負けずに何度だってマイクを握る姿は本当にかっこよかった。

 暴力に、精神の力で勝つ。

 そんなことができるんだって、すっごく、すっっごく救われたんだ。

 自分もあにぃみたいになれたら、自分をいじめてくる人たちを倒したりできるのかなって、何回も妄想してた。

 だけど──。

 あの日、あにぃは負けてしまって、ショックでなにも手につかなくなった。ちょうど学校ですごく嫌なことがあった時と重なってたから、一層。

 それで、ヒーローはいなくなって。

 そんな世界なんて無理だなって思って。

 ずっと。ずっと。ずっと。ずっと。ずーーーーーーーーーっと。

 閉じこもって。引きこもって。殻を作って。キャラを作って。

 けど、それはもう破ることにした。

 ヒーローは、ヒロインがいないと生まれないから。

 私は、もう。

 自分の力で、羽ばたく。

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