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何故こうなった。
どうしてこんなことになった。
良太は、居酒屋に向かいながら
ずっと考えている。
秀人が花蓮を誘ったりしなければ。
今は、秀人が花蓮に話しかけいるので、
話さずにすんでいるが、
このままでは、話を聞かなければならない。
どうやって逃げるかばかり考えていたが
秀人の目が怖い。
逃げようとしているのがバレている。
訳ありなんだと言う事を勘付いている。
だが、秀人は出会いを求めていた。
良太が訳ありだろうと
自分の出会いと良太を天秤にかけて
一瞬で自分の出会いをとった。
なんてやつなんだ。
だが、今の状況は良太にとっても
プラスかもしれない。
だから気持ちを切り替えて
秀人の出会いと言うことにして
花蓮と秀人が話せるようにし
謝られる前に謝って
暗い話にならないようにしようと思った。
だが、
個室がある居酒屋に入ると
いきなり花蓮が謝ってきた。
「熊谷君、あの時は本当にごめんなさい。」
良太が考えた作戦など入った瞬間に
通じなくなってしまった。
最初からそんな作戦通じるわけがないのだ。
良太は、
「そんな事気にしなくていいよ!
俺が強引に言い寄ったのが悪いんだから、
逆にすいませんでした。」
と、言ったのだ。
「でも、熊谷君を傷付けたのは事実だから…
本当にすいませんでした。」
頭を深く下げながら花蓮が
再度謝ってきた。
良太は今更謝られても困るだけなんだが
せっかく謝ってくれているのに
無碍にするわけにもいかず
どうしたもんかと思い秀人を見ると
花蓮に見惚れていた。
秀人は、花蓮のその姿を見ながら
だらしない顔をしていたのだ。
なんというか、
なんて言ったらいいかわからない。
秀人を見て良太も、
なんかよくわからないが
何かが吹っ切れた。
「もう大丈夫だよ!
本当に気にしないで!
俺こそ本当にごめんなさい。
お互い悪かったって事で!
それでその後は、
時田とは上手く行ってるの?」
と、気にせず聞いてみることにした。
「時田君とは高校以来会ってないの…
高校の時も付き合っているのかさえも
わからないくらいだったから…」
花蓮が落ち込んだ様子で話していた。
良太は地雷を踏んでしまったと
焦ったが、
なんと言ってあげたらいいかわからず
そのまま何も答えずにいると、
「こんなことに聞きたくないと思うけど
話してもいいかな?」
良太は、やっちまったと思った。
重い話になってしまった。
重い話は無しで楽しくいたいのにと
思っていたのだが、
秀人が突然、
「是非聞かせてください!
花蓮さんの気持ちが少しでも晴れるなら
俺、いくらでも聞きますから!!!」
良太は秀人を見て
「完全に惚れてるやないか!」
と、心の中で突っ込んでしまった。
花蓮も秀人にそう言われると
思っていなかったので
困まった顔をして良太を見てきたが、
良太は、秀人にプレッシャーをかけられ
折れるしかなかった。
仕方なく良太は、
「聞かせてくれるかな?」
と、言って話を聞くことにしたのだ。




