18
良太の日常が徐々に変わり始めた。
髪型を意識して服装を変え、
無駄をなくし始めてから
だんだんと、
時間の使い方が上手くなっていったのだ。
仕事帰りに、
週に1回はジムにも行けるようになって
家でも筋トレをし身体も締まり始め、
細身な服装も似合うようになっていった。
そろそろ
彼女も欲しくなり始めた良太だったが、
今までの事を思い出すと、
中々、踏み切れずにいたのだ。
合コンも騙されてそうで怖い、
仕事関係もトラウマになっている。
出会いがないのだ。
紹介してくれると
言ってくれる人もいたのだが
上手くいかなかった事を考えると
踏み出し辛くなってしまったのだ。
そんなこんなで時間だけが過ぎていき、
良太は、
気付くと細マッチョになっていたのだ。
やれば出来るものだ。
そんなある日、
大学の友達から連絡があり、
飲みに行く事になったのだ。
仕事が終わり
待ち合わせ場所の店に向かい
店の前に友達が待っていた。
久しぶりの挨拶を交わしてから
中に入って呑み始めた。
友達の名前は、
進藤正樹
大学の時からチャラい感じで
いつも彼女がいながら女遊びをしていた。
女にはだらしがないが
男友達には、
優しく、人望がある奴だった。
一緒に遊んでいてつまらないと
思う事がなかったくらい
おもしろい奴だった。
呑み始めてすぐに正樹が
「良太は最近どうなの？」
と、聞いてきたので、
「何もねーよ！
自分が可哀想になるくらい
なにもねーんだわ！」
正樹が笑いながら
「また寝取られとかなかったのかよ？
残念だなぁ!笑」
と、言ってきて良太は
「それはあった…」
正樹の動きが止まって
引き攣った笑いに変わった。
「マジ？
何回目だよ？
お祓い行った方がいいんじゃねーか？」
今度は、真剣に言ってきた。
「本当にそう思うよな…
自分でも呪われてんじゃねーかと思うもん。」
正樹が真剣に顔になったので
「でも大丈夫！
みんなに励ましてもらって
今は、充実した毎日を送ってんだ！！！」
と、安心させるように答えた。
すると正樹は
「そっか！なら良かったよ！
じゃあ今日は楽しく飲もうぜ！！！」
と、改めて乾杯をした。
そのあとは、大学時代の話や
正樹の女関係の話などをしていたのだが、
正樹は、
店に入ってきた女性客二人を見てから
すぐに声を掛けに行ったのだ。
ナンパなのかと思ったら
正樹の元カノと元カノの友達だった。
最初は嫌がっていたが
正樹が奢ると言って
一緒に飲む事になった。
元カノの名前は
吉野亜由
元カノの友達の名前は
岸谷優香
亜由は正樹の元カノだが、
最近別れたばかりらしい。
優香もその事は知っているので
正樹に良い印象を持っていない。
良太は、とても気まずいのだ。
なんで誘うんだと思っていたが
誘われても断らない方も
なんでだよと思っていた。
気まずい中、
良太も自己紹介をした。
正樹は、気にしていないようで
楽しそうに二人に話しかけているが
優香が突然、良太に話しかけてきた。
「熊谷さんは、彼女とかいないんですか？」
ちょっと棘のある言い方だったが
「今はいないよ。」
とだけ、答えたのだが
「なんで別れたんですか？」
と、さらに聞いてきた。
「なんでって言われても
浮気されてそれで別れた。」
良太は、一応答えたが
優香はもっと詳しくと言ってきたので
大体の事を話した。
すると優香は、
「浮気された理由を聞いて
本当は熊谷さんが好きだって
言ってたんですよね？
もっと話せばよかったのに！
本当は、
熊谷さんが浮気してたんじゃないですか？
もしそうだったら最低ですね！！！」
初対面の子にそんな事を言われると
思っても見なかった良太は、
内心で
「なんなんだこいつ
勝手に聞いてきて話したら最低って
ムカつく奴だ！！！」
と、思っていた。
優香の第一印象は、
良太にとっても最低のものとなった。
その後も小言を言われたが
呑み終わるまでは、
我慢する事にしたのだ。
