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妄訳・曾呂里物語  作者: 帝江
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 人の心を慰める仕事には限りがなく様々であるが、貴賤貧富の区別があり、心にまかせたもてあそび事もまた多い。その中に上の上から下の下まで分け隔てがない楽しみの中でも、見るもの聞くことを口に任せて、語り慰めることに及ぶものはない。

 ここに天正の頃、「そろり」と云う雑談の名手がいた。

 大樹秀吉公は彼を召し出して、常に彼を寵愛した。その語りの巧みさ、華やかさは、斉の田弁が天口の弁、晋の裴頠が林藪の詞も越えるものであった。誠に清々しいことを論じさせれば、不可視の鬼神も、すわここに現前させることも可能な心地に背中がこそばゆく、しっとりと趣があるもののあわれを談じれば、勇猛な武士も、弱弱しく涙をこぼす。その弁舌博覧の誉れは壺中に天地を納めたり、瓢箪から駒を出す術をも超えていた。

 ある夜、大樹の前にておどろおどろしい話を語れと命じられ、語ること十話を十回に及んだ。近習の人々がこれを書き留めたが、年久しく反古に混ざりこんでしまい、多くは散逸してしまった。

 そのわずかに残ったのを、手で払いのけ捨てようとするのを押しとどめ、それらの話にならった不思議な物語をひとつふたつ加えて今また書き改めたものである。

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