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愚かな超能力者達は世界を蹂躙する  作者: 里道 アルト
プロローグ
6/16

ep6 超能力の発現

これで、香宮野の話が終わります。

少女は、親友との確かな友情を実感した。前よりもっと話すようになったし、一緒に行動することも増えた。


一方で、家族の仲が悪くなっていた。そして、とうとう母親が少女を連れて行き、父親と別居することになってしまった。


少女はそれでも、宮野と離れることはしなかった。


毎日が楽しくて面白いものだと思えるようになったし、自然と笑みがこぼれるくらい幸せだった。


そんな日常を家庭内のいざこざで失うわけにはいかない。少女は、心からそう決心していた。


宮野は、心を読む能力で少女の家庭内の状況を知って、少女を心配したが、大丈夫です。と少女は言い切った。


それからは、宮野が少女の家族の話を持ち出すことも無くなった。



そうして、楽しい日々を過ごしていた少女は、自分の異常性に気付くことになる。


この時、世界を賑わせていた超能力者と呼ばれるものの、力の一端を。



それは、母親と二人で家にいた時のことだった。


「元気?...無理はしてない?」


母親と呼ばれる人は、愛想笑いしながら、少女に話しかけてきた。


あれから、母は、変わってしまった。昔はよく笑っていたのに、今は無理して愛想笑いばかりだ。


頼りなくて、ちょっとつつけば、壊れてしまうような...。


...多分それは、私のせいなのだろう。でも、友達を作ることは、関わることは、そんなに駄目なことなのだろうか?


少女には、分からなかったけど、それは、違うと教えてくれた友達の言葉を少女は、信じることにしていた。


「友達とは、どう?上手くやっていけそう??」


「上手くやっていけてると思いますよ、多分ですが」


ここで、上手くやれていないと、答えたら、すぐに引き離すつもりだったのか...。


少女は、身構えて慎重に言葉を選んでいく。


「ただ、前も話した通り、彼女は人の心を読めるので、私達、家族の関係とか全て筒抜けなので、たまに気まずくなりますが」


少女は、母親に宮野がの超能力者であることを暴露していた。この時は、あまり事の重要さに気付いて無かったのだ。


「そう、そうよね。もう別居してる事を知っているんだったわね。普通なら、離婚一歩手前の行動だもの。心配しないというのが無理よね...」


「離婚するんですか?」


「いいえ、でもまだ当分は、会わないわ。唯にはもう泣いて欲しくないの。あの人に分かってもらえるまで、ここを出ないし、あなたを連れていかせない」


いつから、こんなことになってしまったのだろう。


少女は、思い返すが分からない。少なくとも、多くの友達を作った小学生の時ではないということぐらいしか。


話すだけ、話すと、こういう嫌な空気が流れる。少女はこの空気が嫌いだった。


母と話す時は、何故かいつも、こういう空気に包み込まれる。少女はこういう時、いつも、逃げ出したいと消えてしまいたいと思うようになっていた。


それは、この日も同じ、逃げてしまいたい、消えてしまいたいと、そう願った瞬間、ポッとどこからか、音が聞こえてきた。


その音は小さく、どこから鳴ったのか全く見当がつかない。ただ、その音が聞こえてからの変化は顕著に現れた。


「ゆ、唯?唯!?どこ、どこにいるの?さっきまでそこに...」


どこと言われてもずっと、母の目の前にいた。今も、動いてない。目の前にいるのに、全く気付く様子がない。


母は、オロオロしながら、目をキョロキョロと、せわしなく動かしていた。


まるで、目の前に誰も居ないかのように...。


いや、彼女の目には少女の姿が映っていなかった。本当に見えていないのだ。


しかし、近くにあった丸鏡には、少女の姿がハッキリと映っていた。


だけど、それにずっと、気付かない母親を少女は気の毒に思った。


見えるようになれ、と心の中で叫んだ。


「お母さん、ここにいますよ」


少女はわざと、母の後ろに行って、肩を叩いた。


その直後、倒れるように母は、少女の体を抱きしめた。痛いと思うくらい思いっきり。


彼女の目には、涙が溢れていた。それは、少女が見たことがない母の顔だった。お父さんと話し合っていた時も、こんな顔をしていたのだろうか。



少女は、ふと親友の言葉を思い出した。彼女は言っていた。どんな事があっても、親は子供のことを一番に考えていると。


しばらくして、落ち着いてから母は口を開いた。


「私、...あなたが居なくなってしまったように感じたの...。私の目の前から、突然姿を消したように。私は、自分の妄想で、あなたを、自分の娘を作り出したのかと、一瞬だけ思ったの。そして、どこか安心した自分がいた。私は、あなたの親なのに、親らしいこともできなくて...ごめんなさい。いなくて良かったなんて、一瞬でも、思ってごめんなさい。本当にごめんなさい」


少女は、困惑していた。母が胸の内に溜め込んだ本当の感情の一端に触れ、なぜか、少女も涙が止まらなくなった。



思えば、母は、いつも私のために色々な事をしてくれたのだろう。 なのに、私は、ずっと素っ気ない態度を取ってきた。


少女は、今まで口にして来なかったが、小声で、ごめんなさい。そして、ありがとうと母に伝えた。



かなり間、二人抱き合って泣いていたが、それもようやく落ち着いてきて、少女は、自分が特殊能力に目覚めた事を、母親に話し始めた。



胸の中で消えたいと望むことで一瞬だけ、誰の視界にも映らなくなる、すなわち、透明人間になれる、それが少女の能力である事を。




そして、この数日後、少女の運命を左右するある事件が起こるのだが、まだ、彼女は知らなかった...。








こんにちは、里道アルトです。ようやく、香宮野過去回想編終了しました。ここまでが、香宮野の話です。まだ、あるのですが、とりあえずはここまで。次から、過去回想する時は、会話で話すことになると思います。長ったらしい文章になるかも知れませんが、よろしくお願いします。

あと、香宮野さんは、この文全部読んでる訳じゃないですよ。部分的に話しております。

では、ようやく、次から現在の話を書いて行こうと思います

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