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愚かな超能力者達は世界を蹂躙する  作者: 里道 アルト
プロローグ
3/16

ep3 有羅木家にお邪魔します

 電車を降りた後、多少の掴み合いがあった、というのも、主に、逃げようとした僕が、香宮野に首根っこを掴まれただけなのだが...


「電車を降りた後、全速力で走ったはずなのになぁ、こんな華奢そうな女の子に走りで負けるし、首根っこ掴まれるだけで、動けないなんて、僕ってこんなに非力だったのか?中学の時は、バスケ部に入ってて、体力もついてきたと思ってたのに...。一年もたってないのに、ここまで落ちてるなんて」


 「私は、一応陸上部に入っていますし、護身術に合気道とか少林寺拳法とかは習ってましたけど...。そう気を落とすことでもないと思いますよ。まぁ、有羅木くんのお家には絶対お邪魔しますが。というわけで、道案内をお願いしますよ」

 

 「はい、分かりましたよ、すればいいんでしょう?道案内」


 わくわくした目で言われ、これ以上の抵抗は無駄だと分かった僕は、(首根っこを掴まれたまま)おとなしく香宮野を連れていくことにした。間違った道を案内してもいいが、すぐにばれそうだし、今度は半殺しされるかもしれない。そうして、僕たちは自分家の前まで来ていた。


 マンションが立ち並ぶその一角に僕達の住む一室がある。そこに着いた僕は、白く塗られた扉がいつもよりも重たい気がした。


 妹にどう説明すればいいんだ。今まで一度も、一人も、友達を連れてきたことがないのに、それで、突然、そんな僕が人を連れてくるなんておかしいと思われるんじゃないだろうか。


 そんな風にドアノブを掴んだまま、少々考え事をしている僕のことなどお構いなしに、香宮野は僕の手に手を置いてぐるっと回す。カギはもう開いていたので、ガチャリという音ともに扉は開いた。


 僕は、支えとなっていた扉が開くことで、なおかつ、その扉の取ってつけが悪く引いても押しても扉が開くようになっていたから前のめりに倒れ、ちょっと気持ち悪い浮遊感を味わうことになった。


 結果、ろくに受け身も取れないで、顔と体が地面に伏した。そして、その音に気付いただろう妹は玄関でその惨状を見た。


 「お兄ちゃん、おかえりな...のだ?」


 「おう、ただいま」


 前のめりに倒れた僕は、顔だけ妹の方を向き、妹の顔を見上げる。その目は、一点に集中していた、すなわち、香宮野に。


 「と、彼女さんなのだ?」


 「彼女じゃねぇよ」


 「彼女じゃありませんよ」


 香宮野と微妙にハモった。だめだ、今日一日面倒くさいことになる予感がする。



 「はじめまして、私は有羅木(ゆうらぎ) 亜衣(あい)なのだ~。今は、中二で近所の学校に通ってます。お兄ちゃんの妹なのだ~」


 「はじめまして、私は香宮野 唯です。お兄さんとは今日会ったばかりなんですが、星宮学園に編入してもらいたいと思って、伺ったんです。いろいろつもる話もありましたので一度寄らせてもらうことになりました」


 嘘だ、僕の困った顔を見て楽しんでいただろう、と内心毒づきながら、表情に出ないように努める。


 「なるほど、なるほど、つまり一目惚れというやつなのだ~。お兄ちゃん、いい人だけど女の人に興味を持つことは今までなかったのだ。お友達も連れてこないし、学校でもボッチなのかと心配してたのだけど、彼女ができていたのか~。妹にぐらい教えてほしいのだよ」

  

 香宮野は、困った顔をして僕の袖をくいくいと引っ張ると、小声で耳元に近づいて話しかけてきた。

  

 「ねぇ、さっき違うってはっきり言いましたよね」


 「....妹には、見ての通り妄想ぐせがあるんだ。戻ってくるのに少なくとも一時間はかかる」


 自分の世界に入り込んだ妹は、「お兄ちゃんのいいところは~~....」とか言い始めてしまったので、僕は、慌てて香宮野を自分の部屋に連れ込むことになってしまった。キャーという妹の声は聞こえなかったことにしようと思う。


 僕の部屋に入ると香宮野にすぐに、クローゼットの中とか机の中とかを漁られた。幸い、見られてまずい中学のアルバムとかはないので、恥ずかしい思いはしなかった。


 「エ〇本でも出てくると思ったのに、本当に何もないですね、この部屋には」


 と、香宮野は残念そうに呻くような声を発した。よく考えてほしい妹と自分しかいないのにそんなもの買うはずがない。ただでさえ、狭いのにそんなものを隠すスペースなど作れるはずがない。


 「そんなもんあるはずないだろう。まだ、一六なんだぞ?」


 「それでも、男の子は持っているものなんですよ?」


 「そっちの話は、引き伸ばすつもりないからもう突っ込まねぇよ。それよりも、どうして僕の家に来たんだ?目的を思い出してみろ」


 「え?それは、私的好奇心です。」


 「え?私的好奇心なの?」


 「冗談です。でも、別に家じゃなくても、誰にも聞かれないような場所ならどこでもよかったんです。帰り際だったし、一番安全なので、あなたの家にお邪魔したのです」


 「私的好奇心っていうのは冗談じゃなさそうだったけどな」


 僕がそう漏らすと、香宮野に羽交い絞めにされ、ギブギブと言うまで放してもらえなかった。


 そして、そんなひと悶着があって一息ついた後、彼女はおもむろに、彼女の身に起きた出来事と『超能力者』について知っていることを話し始めた。





ここまでお付き合いいただきありがとうございます。いつもだと思いますが、内容が薄くあまり進展がない...。あと情景描写が少ないので、内容とかが飛んでしまい、会話が噛み合わないことも多々あると思いますが、指摘してくださると助かります。

また、次回お楽しみください

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