表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚かな超能力者達は世界を蹂躙する  作者: 里道 アルト
星宮学園生徒会
15/16

ep4 お昼時の事件

 「有羅木君、お昼は持って来てますか?」


 塚上が、僕の席に来てそう言った。今は、三限目の授業が終わり、昼休みに入ったばかりだ。お昼を誘ってくれたはいいんだが。


 「まぁ、妹が作ってくれてるんだけど、塚上は?」


 「私は生憎、自炊派ではないので買いに行こうと思っていたんですが...」  


 まぁ、教室で食べるというのも手だが、せっかく誘われたんだし、断る理由もないと思って、僕は一緒に行って食べることにした。


 学食は混み合っていて、思っていた通り、食べる場所を確保するのも大変だったが、もっと凄いのはメインの方だ。レジの前で長蛇の列を作って、四〇人待ちと言った感じだった。それを見た塚上は、


 「今日はかなりマシですね。凄い時には階段まで続いている時がありますから」


 とか、言うもんだから、僕とは縁がないといいけどな、と心の中で呟いた。


 「じゃあ、僕はここでお前が来るのを待っとくよ」


 「はい、席の確保お願いします、では」


 彼はそう言って、あの長蛇の列に並びに行った、とそう思ったが、僕から、大体二メートルくらい離れると、一瞬にして目の前から消え去り、彼が消えてから三秒後くらいにバリンという、ガラスが割れる音が鳴り響き、みんなが騒いでる中、一人何事もなかったかのように、ガラスが割れた方の逆方向から歩いて帰ってきた塚上が現れた。


 「いや〜、今日は収穫でしたよ。二つとも限定品ですよ」


 「そんなことより塚上、色々聞きたいことがあるんだが、そうだな、まずはあの割れたガラスについてなんだが、絶対お前だよな」


 「そうですね。過去にも何回か止まれずにぶつかったことがありますね」


 「あと、お前が持ってるそれ、売りもんだったよな、盗んだってわけじゃないよな?」


 「えぇ、もちろん。きちんと、お金は払ってきましたから、大丈夫ですよ」


 「そうか、良かった。とはならんからな」


 塚上は頭、いや、ヘルメットを掻きそれほどでも〜という態度をとるので、僕は、キツく注意した。


 ってそんなことより、事態の収拾をしなければ。こいつを先生に突き出せばいいのか?全く処理の仕方が分からん。


 「お前、あのガラス窓どうするんだ!?誰にお前を突き出せば、事態は収拾できるんだ?」


 塚上の手首を掴み、僕は、職員室に向かおうとするが、塚上は、私を売ろうと言うんですか!みたいな事を言ってきてその場で踏ん張っていた。


 裏切りみたいに言ってくるが、お前のせいで僕に飛び火するかもしれないんだから当たり前だろ。


 他人の罪を被るほど、僕はお人好しじゃないんだ。


 しかし、なかなか動かない塚上に僕は痺れを切らして、諦めた。


 僕たちは結局、そこの席で昼ご飯を食べることになった。


 「真剣にあの窓どうするんだ」


 「大丈夫ですよ。学園側がじきに直すでしょうし」


 「弁償しろって言われないのかよ?」


 「おそらく大丈夫でしょうね」


 「あと、香宮野は能力を無闇に使うなって言ってたと思うんだが?」


 「私には、必要だったのですよ!なんせ、今日は一〇食限定、フルーツサンドウィッチの日だったんです」


 塚上は、食い気味にそう答え、少し潰れている袋を僕の目の前にだした。


 「だから、なんなんだ?それはそこまで、重要なことなのか?」


 「えぇ、たまたま、二つ取ったので一つあげますよ」


 そう言われ、僕はその潰れている袋を一つ貰った。中には、今塚上が食べているフルーツサンドウィッチなる物が入っているみたいだ。


 僕は、お昼を妹に作ってもらっているので、それを食べた後、まだお腹が空いていたら、食べることにした。


 「それにしても、なんか落ち着いてるな?普通はもっとザワザワなるものだと思うんだけど」


 見ると、ガラスが割れて数分しか経っていないのに、また、学食の列が作られていた。


 「まぁ、私、毎度毎度割っていますからね。慣れてしまったんでしょう」


 僕は、この風景に慣れたくないなと思いながらその様子を眺めた。散らばっている破片を吸うあの自動掃除機は、止まることをしらない。


 食のためにここまでするなんて、こいつは一番危険なやつかもしれないなと僕は心の中で思った。それと同時に食欲の恐ろしさも知った。


 「それにしても、超能力者がいるって本当にこの学園では周知の事実なんだな」


 「まぁ、基本は香宮野さんに使うなと言われているんですがね。最初からこの学園に超能力者が多くいましたし、認めるのも早かったんだと思いますよ。そこから、他に吹聴してはいけないというルールを認めさせるのは苦労しましたが」


 塚上は、この学園の副会長で、生徒会長である香宮野を補佐している。だから、その活動の過程でまぁ、大変なことがあったんだろうと想像する。


 塚上は、昔からの友人というわけではないが、香宮野には恩があって、手助けをしているそうだ。


 

 僕は、妹が作ってくれたミートスパゲティを食べながら、塚上と話して昼食の時間を過ごした。


 ちなみに、塚上がくれたフルーツサンドウィッチだが、かなり美味しかった。僕も通おうかなと思うぐらい。まぁ、塚上のように怪我を顧みず、食べたいとは思わない...多分。




こんにちは、里道アルトです。有羅木くんにとってはカルチャーショックですね。まさか、ガラス窓が割れても誰も気にしないとは。まぁ、さすがに一瞬驚くんですけど。生徒達はあぁいつものアレねって感じで慣れてるんです。話数が進む度に、割れます。何枚も割ります。ただ、どこらかしらから来る給料は減るみたいですけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ