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頼れる先輩、山井海曹長

 ある日小野井は、部下の山井海曹長と、食事に出掛けた。小野井の6歳年上の30歳の山井海曹長は、小野井の良き理解者であった。

 「俺もやらされたよ、新人の頃。オオキンケイギクのレポート。まぁ、あれはこの部隊の慣わしみたいなもんだ。」

 「終わるまでどのくらいかかりましたか?」

 「あぁ、どうだっけな。気付いたら発表会になって、終わったからな。それに俺は小野井3尉見たいに本腰入れてやってなかったから。それが、今の地位に甘んじてる理由かもね。」

 「やってみてどうでした?終わった時の手応えみたいなやつ。」

 「学生レポートの様なもんだな。まぁ、中には出世の為にあくせくしてた人間もいたがな。」

 「そんなもんですかね?ちょっと昔を勉強したからってセンチメンタルになるんでしかね?」

 「人それぞれ受け止め方は違う。だから小野井3尉のやりたいように、思う存分にやれば良い。」

 「何だか胸が苦しくて。75年前の事とは言え、他人事には思えません。」

 「歴史は過去だ。知る事は重要だ。ただ向き合う。それだけの事さ。要は学べって事さ。」

 「なるほど。知らぬが仏ではないんですね?」

 「単なる事実に過ぎないという事さ。そこに感情移入するからややこしくなる。」

 「政治に口出しは出来ませんが、そう言われればその通りですね。勉強になります。」

 「全く、防大出ても部下に教わってるようじゃまだまだだな。」

 「山井海曹長には叶いませんなぁ。全く。でも自分頑張ります。」

 「期待しないで完成するの待つよ。期待すると後悔するかもしれんからな(笑)」

 「藪から棒に何ですが、山井海曹長は特攻に行けと言われたら、どうしますか?」

 「命令には従う。それが、軍人の務めだ。」

 「十死零生の作戦でもですか?」

 「自衛隊員は特別職国家公務員だが、やってることは、軍人と変わりない。上官の命令は(ちん)=天皇様の命令だからな。」

 「まぁ、最も今の自衛隊において特攻の命令は出せないだろう。」

 「人間の命は地球より重い、なんて言う政治家が居るくらいだからな。」

 「でしょうね。それに何億モノ血税をかけて育成した自衛官とその機体を失うのは、得策ではありませんからね。」

 「昔は、徴兵制と志願制両方あったから、出来たんだよ。」

 「代わりはいくらでもいた。搭乗員は消耗品。整備兵は備品。なんて言われてましたからね。」

 「心中御察し致します。だな。」

 「人名軽視もここまで来ると見事ですね。」

 「逆に小野井3尉は、どうなんだ?特攻でも行くのか?」

 「指揮官先導、率先垂範は赤レンガでも習いますからね。行きますよ。きっと。」

 「多分、今の自衛隊員もほとんどが言われた事は素直にやるだろう。」

 「それが、仕事ですからね。その為の訓練ですし。それが、出来ないなら辞めるしかない。」

 「俺が思うに、75年前の日本人も同じだったと思う。」

 「残念ながらアメリカ海軍に通用しなかった。まぁ、何を悔いても過去には戻れませんがね。」

 「歴史は繰り返さない事が大切なんだよ。」

 「そうですね。さーて。やれるだけやって結果出しますよ。」

 「まぁまぁ、今日は久しぶりの酒場だ。ゆっくり飲もう!夜は長い。」

 この日は、次の日が土曜休日だった為に、深夜まで飲み明かした。あれ?そういやぁ自衛隊員て集団生活じゃなかったっけ?

 「届け出を出せば、外泊OKなんだって!」

 へぇーそうなんだ‼

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