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特攻花~TOKKOKA~ 英霊の祈りを込めて  作者: 佐久間五十六


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大和魂 民族のプライド

 小野井はその後、活動が評価されて防衛省長官(防衛大臣)から、特別功労賞を与えられた。世間から認められたものの、小野井はこれで満足した訳ではない。

 まだまだ国民の知らない黒歴史や歴史的事実はたくさんある。特攻はその中の氷山の一角に過ぎないのである。勘違いして欲しくないのは、今更思い出したくない記憶を、引きずり出す事を目的にしている訳ではないという事である。

 過去から学ぶ事で、避けられるトラブルや未来があるのだとすれば、我々が苦々しい記憶を振り返る意味というのも、あるのでは無いのだろうか?日本人にとっては、"あの戦争"(太平洋戦争)を振り返る事は、我々の未来の安全保障を考える事でもある。

 戦争を知らない世代が台頭している今日。戦争の記憶はドンドン風化して行くものだ。避けられ無い争いはあるかも知れないが、それを忘れた頃に危機が訪れてくるのが、人間の(さが)である。

 小野井は、この一連の絵本製作を通じて、自己表現の大切さを知った。思っている事を伝える手段としての絵本というアナログな媒体は非常に有効なツールである事を知った。まだまだ自分はそのツールを使いきれていないし、充分に活用出来ていない。未熟だとつくづく思う。そして伝えたい事もまだある。だが、現役の自衛官は時間的に厳しい面がある。だから、小野井は現役の間に集められるだけの"ネタ"を仕入れようと考えた。

 そのネタを握って本という寿司にするのは現役をリタイアしてからでも遅くは無いだろう。自衛官は若年定年制度を採用しており、大半の自衛官は、60歳を前にして退官する。小野井には他にもやるべき事がある。今は現役を続けている小野井だが、航空機の操縦は死と隣り合わせである。そういう職業柄毎日が真剣勝負であった。

 毎日規則正しい生活をし、時にスクランブル(緊急発進)もある。死にたくはない。でも誰かがやらなければならない。目標達成の為には絶対死ねない。それが、特攻隊員と小野井武士の違いだろう。

 特攻隊員の凄い所は、負け戦でも一矢報いるという気持ちで民族のプライドをかけて、各兵器に乗り組み自爆攻撃を仕掛けたという点に尽きる。とてもではないが、小野井には真似の出来ない事であった。無論、有り得ないが上官から命令されれば逆らえない立場にはいたのであるが…。

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