ブラックボックス
小野井は改めて日浦3佐に報告した。その全てを。
「お陰さまで30万部を越えるベストセラーになりました。」
「ご苦労。しかし、お前の真価問われるのはこれからだぞ。」
「と、言いますと?まだまだ売れる余地があるのだと?」
「いや、そうじゃない。新しい絵本をまた作ってみないか?」
「それはマジですか?いや、しかし何を題材にしたら良いのか。」
「それは今度も自分自身で見つけるしかないだろ?」
「これって防衛省からのお達しですか?違いましたか?」
「防衛省からそんな指示が来るか。俺の独断だ。」
「防衛費稼ぐには手っ取り早いですもんね?」
「口を慎め。まぁ、防衛省の幹部は喜んでるらしいがな。」
「評判も上々の様ですよ。手応えもありましたし。」
「これで満足してるのか?まだまだ良いもの作れるよな?」
「世間の人々に自衛官がモノを発信するのは良いことですよ。」
「まぁ、俺達にだって表現の自由はあってしかるべきだしな。」
「それは良く思います。政治に関わらない範囲でなら。」
「その辺りはブラックボックスで、これまで触れなかったがな。」
「これからの時代はブラックボックスに挑戦していく時代ですよ。」
「お前が新たな道標になってぐれて、ありがたいよ。」
「自分にはそんな気持ちは更々無いんですがね。」
「絵本じゃなくて、小説とか論文でも形は何でも良い。」
「そうですね。でも、自分は絵本にこだわりたいんです。」
「万人が理解出来る様にする為、だもんな?」
「そうですね。小説や論文では敷居が高くなりますから。」
「テーマがいくら難しくても、絵本にしてしまえば、大丈夫だもんな。」
「題材は仕事終わりに鹿屋基地の図書館で見つけます。」
「任務は最優先だから、そこは忘れぬように。」
「日浦3佐が上司で本当に良かったですよ。」
「どういう意味だよ?誉めてるのかけなしてるのかわかんねーな。」
「誉めてるんですよ。やりやすい上司です。」
「ゴマするのも上手くなった気がする。」
「これからもよろしくお願いしますね。日浦3佐。」
「お前に言われんでも、転勤がない限り面倒みてやるよ。」
「忙しくなりますよ。これからきっと、絶対。」
「大丈夫。お前ならまた新しい絵本作れるよ。」




