絵本で示す特攻花
小野井は、少しずつ絵本の製作を開始した。まずは、全体の構成を考えながらストーリーを組み上げていく。イラスト(挿し絵)は当然それぞれのストーリーにあったものでなければならない。それに加えて、ストーリーとイラストの内容が難し過ぎてはいけない。なるべく難しい表現や言葉は用いない様にする工夫が求められた。
ストーリーとしては、主題となる特攻花というモノがどういう経緯で、鹿屋の基地の周りに咲く事になった背景等をメインに、小学生でも分かるレベルの知識でも分かるように、物語を展開していく。
この小さな子供でも分かる様に工夫するという作業が、思いの外ハードルの高い物であった。イラスト(挿し絵)は、それなりに調整が効くが、文章はダイレクトに表現しなければ、伝わらない部分もあるため、何処をどう噛み砕けば伝わる様になるかという事を熟考するのは、骨の折れる作業であった。
構成の段階で、辞書を使わなければ分からない様な表現は避けつつも、これだけは知って欲しいというキーワードは、ルビをふり意味ものせた。
こうする事によって、絵本という小さな子供向けの物であったとしても、大切な軸はぶれない様になる。それと同時に戦争に関する最低限の理解は、深める内容にした。
更に、足を使って集めた元特攻要員の話も織り混ぜた。こうして少々分厚い絵本が完成した。
この絵本を読む事で、戦争というモノを考えるきっかけにして欲しい。その理念はきちんと確立させた。どうしても内容が重い為、作品を理解してもらう為には、何処かで軽い部分を入れないとバランスが取れない。
そこで、イラストは大切なポイントを抑えながらも、なるべく軽快なタッチで描くようにした。そうする事で、バランスを取ろうと考えたからである。
その狙いは功を奏した。重厚な内容だが、軽いタッチのイラストは読んでいて、嫌味にならない。無論、読者がどう評価するかという事は、製作段階では分からないかも知れないが、それでも工夫をこらす事で、多くの人に好印象を与える作品になりそうである。後はこれを紙の上で表現するだけである。
絵本という媒体にこだわったのは、紙芝居の延長線上にあったからだ。その意図が汲み取って欲しいと願わざるを得なかった。色々紆余曲折あったが、やっと形になってきた。




