小野井の知るべき事
調査も落ち着き、久しぶりに山井曹長と寺田1曹と食事に行く事になった。
「いやぁ、やっぱり鹿屋は落ち着くな。住めば都とはよく言ったもんだ。」
「武さんは何の出張で一週間も部隊を離れてたんですか?」
「そうなんすよね。武さん、何かやらかしたのかと思って心配しましたよ。」
「何も言わずすまなかった。今ある事を調べていてな。」
「それって面白い事ですか?」
「いやぁ、そういうのじゃないんだよ。」
「武さんまさか出張とか言って、女たぶらかしてたんじゃないすか?」
「そうじゃねぇんだ。俺は今特攻の事を調べているんだ。」
「特攻?なんすかそれ。新たな暴走族かなんかですか?」
「山さん!特攻ってあれっすよ。大日本帝国海軍の零戦を使った自爆攻撃っすよ。」
「流石だな。寺は。そうなんだ、仕事もそこそこに特攻の事を調べているんだ。」
「でも、何でまた急に?」
「山さん、しっかりしてくださいよ。オオキンケイギクの課題っすよ。新人の通過点じゃないんすか?」
「まぁ、日浦3佐に言われて熱が入ってんすよ。」
「形にはなりそうだ。まぁ、それだけ時間をかけたからな。」
「良い事じゃないですか?適当にやる幹部も多いって聞きますし。」
「そうなのか?」
「武さん、考えても見て下さい。わざわざプライベートの時間削ってやる人は稀ですよ。何のポイントになるか分からないのに。」
「まぁ、ここは幹部の永住地じゃねぇからな。日浦3佐も嬉しいんじゃないですか?真剣に課題として、向き合ってくれる人が現れて。」
「俺はしっかりやるよ。最期まで必ず。」
「ところで、特攻ってよく分かんないすけど、何人位泣くなってるんですか?」
「海軍の推計値だけで約4400人、陸軍も含むともっと増えるかな。」
「詳しいな、寺は。」
「爺さんが紫電改に乗ってましたから。」
「鹿屋と特攻の繋がりがイマイチ分からないんだが?」
「山さん!常識っすよ。鹿屋は戦時中海軍の特攻基地だったんすよ。ちなみに陸軍は知覧に特攻基地を持っていました。」
「鹿児島ってよく考えたら本土最南端だもんな。」
「武さんはもう相当な知識を得たようですね?」
「ふん。まぁな。だがまだ人に発表出来るレベルではない。」
「何でそんな無謀な事したんすかね?」
「帝国陸海軍はもう機能不全に陥っていた。」
「それは、結果論だ。死んだ人間に罪はない。」
「そういうもんすかね?でも今の日本人は好ましく思わないでしょう。」
「そうですね。山さんの言う通りイメージは悪いですね。」
「そこなんだよな!俺はそれじゃダメだと思うんだよな。」




