表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特攻花~TOKKOKA~ 英霊の祈りを込めて  作者: 佐久間五十六


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/60

海上自衛隊鹿屋基地にある図書室

 小野井はP-3C哨戒戦闘機の姉妹機である、電子探索機EP-3の副操縦士を任されていた。

 艦艇や陸上部隊では不充分である、海の守りを補うのが、航空部隊の役目である。EP-3には、10人以上隊員がいたが、今風に言えば、小野井との濃厚接触者は、その中の3人程である。

 1人目は、日浦強志(ひうらつよし)3等海佐である。小野井の直属の上司であり、この機体の機長でもある。

 2人目は山井蒼(やまいそう)海曹長。小野井の2才歳上の26才で、頼れる部下である。とは言え、山井は海上自衛隊に入隊して、5年以上経つ経験豊富な人である。

 3人目は、寺田塔也(てらだとうや)1等海曹。31才高卒入隊からはや、13年目。頼れるベテランの域に入りそうな青年下士官である。

 ある昼休みでの出来事だった。小野井と寺田1曹と山井海曹長が鹿屋基地内で飯をほおばっている時だった。

 「この辺りって何かなんもないっすよね。娯楽的な場所。」

 「確かに何にもないかもしれません。見ての通りド田舎ですから。」

 「小野井3尉は、基地の周りに綺麗な黄色い花があるのを着任の時に見かけませんでしたか?」

 「はぁ。見たような見てないような。詳しくは見れてませんね。何の変鉄もないただの花に見えましたけど。」

 「お時間がある様ならあの花について調べてみると、あの花がただの花ではない事に気付きますよ。」

 「自分の目と耳で調べてみるというのも、この仕事にとっては大切な事ですよ。」

 小野井は食事を終えて、いつもの仕事をしていたのだが、どうしても、山井海曹長に言われた一言が気になって仕方が無かった。課業終了後、その事について、上司である日浦3佐に聞いてみる事にした。

 「日浦3佐?少し御時間宜しいでしょうか?」

 「何だ。珍しいな、いつも誰よりも先に宿舎に戻るミスター働き方改革の新米3尉が、俺に何の用だ?」

 「基地の周りに咲いてる綺麗な黄色い花の事について、何ですけど…。」

 「さては、寺田1曹と山井海曹長に何か言われたな?」

 「なぜそれを!?何で分かったんですか?」

 「この部隊では、階級を問わず新人にあの花の事について、調べさせる古い慣習があるんだよ。」

 「それは、初耳です。」

 「空いてる時間に調べたら良い。鹿屋基地の図書館にいけば分かるよ。はい、これ図書館の鍵。無くすなよ。」

 「鍵は一通り調べ終えたら返してくれたら良い。楽しみにしてるよ。小野井3尉のレポート。」

 「レポート?いやいや学生じゃないんだから。まぁ、この部隊の古い慣わしだってんだから仕方ねぇか。どうせやることも、遊ぶ場所もねぇし。いっちょやるか。」

 小野井は鍵を渡された翌日からあの黄色い花について調べる事にした。

 鹿屋基地の図書館はどちらかと言えば図書室と言った方が良いかもしれない。が、予想していた以上に広かった。流石に年期が入っている。帝国海軍時代から使われていたとしたら、かなり年期の入った建物だ。

 「さてと。どこから取りかかれば良いのやら。」

 小野井は数ある書物の中から手当たり次第にめぼしい資料を集めて、机の上に置きにらめっこを始めた。その右手の近くにはノートとボールペンを用意し、ひたすら関連情報のピックアップを行っていた。

 これは関係ないというものでも目だけは通した。小野井はこの作業を毎日の忙しく慌ただしい業務の中で行う事になる。

 着任から約半年。その時から気になっていたあの花の事だけあって、調べる小野井の手には気合いと集中力がみなぎっていた。そして、この花の正体を知る事は、鹿屋という土地柄とここまで歩んで来た道のりを知るという事にも繋がるのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ