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特攻花~TOKKOKA~ 英霊の祈りを込めて  作者: 佐久間五十六


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18/60

逃げない強さ

 「富三夫さんは、直掩機だったんですか?」

 小野井は知ったように言った。

 「今の若い者が、その言葉を知っているなんて少し感動するな。」

 「そう。俺は味方の特攻機を敵艦に無事突入させてやる残酷な役割を担っていた。当時の特攻隊員の多くは死ぬ必要のない学徒動員で来た大学生(予備士官)だった。よくもまぁ、こんな非人間的な作戦を考え付くものだなと感心したが、体当たりの技術だけ叩き込んで敵艦隊に爆弾を抱えて突入するなんて、正気の沙汰ではない。でもあの頃の予備士官達は泣き言1つ言わず特攻を完遂していたぞ。日本が負ける事も口には出さないが、薄々分かっていた。死に場所をあの頃の人間は求めていた。特にアメリカ軍が、沖縄に来る頃には、死ぬ事が目的になってしまっていた。」

 「死に場所…ですか?」

 「そう。死に場所だ。直掩機の辛い所は自分より若い者が、命をかけて体当たりするのが失敗しようが成功しようが最後まで見ていなきゃいけないのが辛い所だった。」

 「特攻の成功率は平均18%~20%。5機に1機成功すれば御の字というものでしたからね。」

 「大本営は何を考えているのか分からなかった。若い兵士はどんどん死んでいくのに、司令部の人間は毎日贅沢三昧。末端の兵士の事などどうでも良かったんだ。責任を問われれば、直ぐにげる。官僚の責任逃れ主義は今に始まった事じゃないんだ。まぁ、最も今はそんな事にイチイチ目くじらを立てる力も無いがな。」

 「すみません。こんな辛い事思い出させてしまって。」

 「何て事はないさ。若い者にこそ聞いて欲しい事さ。」

 「今は幸せですか?」

 「そうだな。家族にも恵まれ総合すると幸せだったよ。もちろん今も幸せだ。」

 「でもどうして海軍は冨三夫さんのようなベテランパイロットを特攻に出さなかったのですか?」

 「腕の肥えたパイロットを失うのは、日本海軍航空隊としてはどうしても避けたかったんだ。さすがにその判断まで、誤る事はなかった。特攻を見送るのは、ベテランパイロットにしか出来ない事たからな。」

 「今日は貴重な時間をありがとうございました。色々勉強になりました。」

 「また来いよ!まぁ、生きてるか分からねぇが。(笑)」

 小野井はこうして4人の生きる伝説から生の声を取得した。これからその話をどういう形にしていくかが、重要である。小野井は聞いている度に生々しい話でしんどかったが、気合いで乗り越えた。気合いではどうする事もできなかった人達の事を想いながら…。

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