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第4話 あっ・・・βテスターの方ですか?

APEXと原神が楽しすぎて何も進まない

「まずは職業(ジョブ)を取得するよ!」

「無職からの脱却ですね? 分かります」


 せっかくゲームの世界に降り立ったというのに、街並みや風景なんてなんのその。

 現在目に映る景色は、ヒマワリの綺麗な金髪の後頭部とそこに生えた白くてかわいい猫耳だけである。

 ん? 文章化してみると、これはこれで素敵なのでは? …ってそんなこと考えてる余裕は無い。


 何を隠そう我々黒野兄妹は、始まりの町【ファウスト】の中を全力疾走中なのだ。

 周りのプレイヤーさんたちは、奇怪なものを見る目でこちらを見ています。

 恥ずかしいです。


 すると、前を走るヒマワリが急にこちらに振り返り、顔を合わせてきた。

 なんと、足は進行方向へ動かしながらである。特にスピードも変わっていない。

 始まりの町にしては、かなり入り組んだ通路もあったが、するするとプレイヤー間をすり抜けていく。

 え? 後ろ見えてる? 妹のキャラコン凄すぎない? 


 そんな神業を当たり前のように披露しつつ、ヒマワリは次なる予定について話し始めるのだった。


「ではクロノ君に問題です。ジョブを取得するには、まず何処に行けばいいでしょうか?」

「ハローワーク?」

「それはリアルの話! 今から行くのは冒険者ギルド!!」


 鋭いツッコミ感謝。

 ていうか、走りながらしゃべると舌を噛みそうで怖い。


「なるほど、ではそのギルドとやらに行げばっ…いっつううう!! 舌噛ん――」

「私はある中級職を解除するために、職業は剣士にするけど、クロノ君は何にする?」

「ッス――……あーそういえば、特に何も決めてなかったなぁ」


 プレイスタイルの方針も決めず、種族はヒト族に決めてしまった。

 ヒト族に向いている職業とかあるのかな? 


 それよりも、さっき噛んだ舌痛いんですけど。

 ヒマワリさんまさかそこに関しては無視な感じですか? このゲーム痛覚まで再現する必要無くない? モンスターと戦闘するときもこのレベルの痛覚なんですか? モンスターとかにお腹でも斬られたら日には…死因がショック死の人とか大勢出ませんかね?


 あ、でも確か他のVRゲームでは、戦闘中の痛覚は無くなり、ダメージを受けた部位に違和感を残す形で補完されるってあったな。

 頼むから、MWSでも同じ仕様であってクレメンス~。


 そんな脳内で神(製作者)頼みをしていると、ヒマワリが更に質問してきた。


「確かクロノ君ってヒト族なんだよね? 何かやりたいことでもあったの?」

「いやぁ、実は特に何も決めずにヒト族に決めてしまったんだ。説明見たけど、他の2種族は既にプレイスタイルを決めてる人用みたいな感じだったし…どっちもできるヒト族がいいなって」


 きょとんとするヒマワリに、更に俺は言葉を続けた。


「もし、ヒマワリと一緒に遊ぶ時にプレイスタイルが合わなかったら、上手く連携取るのが難しいと思って。…だってそうだろ。これから先このゲームで一緒に遊んでくれるんだろ?」


 こんなことになるなら、先に聞いておけばよかったかもな。

 いや、ゲームを始めるの前に種族選ぶとかそもそも知らなかったし、何を言っても結果論か。


「う、うーん、お兄ちゃ、クロノ君がそんなこと思ってくれていたなんて…自分のやりたいこと優先で良いのに、ゲームなんだからさっ!」


 そう言いつつヒマワリは、頬を赤く染めると、前を向きなおしてそのまま走るスピードを上げた。

 加速していくヒマワリに何とか追い付こうとするが、どんどん距離を離していく後ろ姿。


 おいおい。どちらもレベル1なのに、獣人族とヒト族でこんなにAGIに差があるのかよ!?


「お、おい! ちょっと待ってくれ!」

「待たない!そんなことさらっと言っちゃうお兄ちゃんは、私の最高率経験値上げのために鍛冶師になってもらうんだから!」

「確かに、まだ何も決めてないけど、選択権は俺にあるはずだろ!?」


 妹に必死になって着いていく兄の図、何とも哀れである。



 全力疾走の後、冒険者ギルドの下級職業修得課にて。



「えーと、まあ、そのー、鍛冶師で」

「やったー!」

「承知いたしました。クロノ様の職業は『鍛冶師』でよろしいでしょうか?」

「……はい」


 瞬間、身体が光った。


『おめでとうございます。初めて職業を取得しました』


 目の前に小さな花火のエフェクトが広がり、ステータス欄の職業欄が『なし』から『鍛冶師』に変更された。


「よし、次は鍛冶師のための道具を買いに行こう!」

「うーん、行動が早い!」


 天狗の仮面の方もびっくりな判断力&行動力の高さ。


 ヒマワリの周りにも花火エフェクトが出ていたので、既に剣士になったのだろう。

 そのまま二人で冒険者ギルドを飛び出し、次はファウストの町一番の道具屋さんへ。


「ヒマワリはほんとにスゲーな、行動に迷いがないというか…この町の地図とか頭に入ってるんじゃないかと思うよ」

「うん、入ってるよ!」

「…え?」

「ファウストの町はβテストの時に端から端の隅々まで調べたからね!」


 あー……えっと、うちの妹、βテスターの方でした。


「チートや!チーターやん!」

誤字脱字報告お待ちしております。

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