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第1話 ジャンケンで負けるとゲームをやらされます。

現実とゲーム世界の相互作用と俺TUEEEEが書きたかっただけです。許してください。何でもはしません。

「ただいま~!お兄ちゃん!」


 家の扉が勢い良く開かれ、本日も元気良く我が妹が帰還なされた。


「おかえり、妹よ。ご飯にする?お風呂にする?それとも……」

「ゲーム!!」

「だよなぁ」


 今日は7月19日。大抵の学校は終業式で、俗に言う夏休みの始まりでもある。

 俺の名前は黒野瑛太(くろのえいた)

 どこにでもいる普通の高校2年生だ。


 妹の向日葵(ひまわり)は中学3年生。

 終業式を終えて、これから中学時代最後の夏を満喫するのだろう……もちろん家で。


 まあ、外暑いもんな。

 本日の日中最大気温は40度を超えるらしいです。

 流石の俺でも溶けますね、これは。


 向日葵は玄関の扉を勢いよく閉めると、履いていた靴を脱ぎ棄てた。

 そしてそのままの勢いを殺さずに兄である俺の胸に飛び込もうとした。

 しかし、脱ぎ散らかされたこの靴を今直さなければ兄が後々靴を直すと思ったのだろうか。

 罪悪感に顔を歪めた我が妹は、1度振り返って靴および玄関まわりを軽く整理整頓してから、再びこちらを向き直り、俺の鳩尾に狙いを定め、魚雷のごとく飛び込んできた。


「ぐふっ!? 流石だ、我が妹よ。確実に俺の鳩尾に即死級の攻撃を与えてくるとは…」

「ほめてほめて~」

「よーし、よしよしよし」

「うふふふ~」


 そのまま向日葵は、ちょっと汗かいたからシャワって来る! と言って元気に浴室へと向かって行ったのだった。


 そう、彼女もやはり中学3年生といえども、立派なレディなのだ。

 家の中でも身だしなみはきちんとしている。

 えらい!


 中3と言えば受験勉強は?と思う方もいるかもしれない。

 しかし向日葵に対して「受験生だから受験勉強頑張りなさいっ!」なんて事は言わないし、心配もしない。

 彼女は中学1~2年の全教科オール5というハイスコアを叩き出している。

 どうせ今日先生から貰ったであろう、中3前期の仮成績書もオール5なんでしょ?

 兄だからね、見てないけど分かるよ。


 ほどなくしてシャワって来た妹は、腰まである長くてふわっふわな栗色の髪をバスタオルで見事にまとめ上げ、Tシャツ&ハーフパンツというなんともラフな格好で浴室から出てきた。


「そう言えばお兄ちゃん!オール5とった!」

「知 っ て た」


 満面の笑みでこちらに向かってピース。

 アイドル顔負けの顔面偏差値。

 向日葵…なんて恐ろしい子。


 てか俺は中・高で今のところオール3なのだが。

 兄として情けねぇ…。


「我が妹は天才である。異議申立ては受け付けない」

「もっとほめてほめてー!」

「よーしよしよしよしよし」

「えへへー」


 こういう屈託のない笑みを見せられると、撫でてあげたくなってしまうのが兄というものなのだ、うん。


 十数秒撫でに撫で続けた後。


「よし、お兄ちゃんパワー充電できたし、今日こそはお兄ちゃんにもゲームやってもらうから!」


 俺が妹の髪をドライヤーで乾かしている最中、そんな宣言をドライヤー温風強モードの中でもしっかり聞き取れるように、向日葵は声を大にして言い放ったのだ。


 向日葵は玄関開けたら、ゲーム!と咆哮をあげるくらい生粋のゲーマーである。

 俺が見てきた限り妹の家での過ごし方は食う・寝る・ゲームするの三択である。

 いつ勉強しているのか未だに謎である。

 彼女の部屋に行けば、古いものから最新のゲーム機までもが所狭しと並べられており、部屋の中心には7色に発光する超ハイスペックなゲーミングPCが鎮座している。

 一体どこからそれらが買えるほどのお金が出てくるかは知らない。

 というか、聞くのが怖い。


 それぐらいゲーム好きな妹は、自分で満足するに飽き足らず、他人に布教するのも大好きだ。

 母さん父さんはもちろんのこと、妹の友達にも何人か被害に…訂正、布教された子がいるようだ。

 向日葵の無駄にクオリティの高いレビューに、皆興味を惹かれてやってしまうらしい。

 しかし、そんな罠に易々とハマってしまうほど、貴様の兄は浅はかでは無いぞ!


「ふっ、そのセリフ聞き飽きたわ!俺にゲームをやらせたければ、ジャンケンで勝ってから言って欲しいものだな」

「へぇ、お兄ちゃんがゲームで私に挑もうとするなんて…まあ、いいよ。そのジャンケン、乗ったげる!」


 何故俺はこんなことを言うのか。

 正直に言うと、俺は飽き性である。せっかく妹から布教を受けても、その時は楽しいと思える。

 しかし、時間が空くとすぐにやらなくなるのだ。

 その後に向日葵と気兼ねなく喋れるかと言ったら、そうでも無いのだ。

 なので、向日葵からの布教は何か理由をつけて半分くらい断っている。

 全て断るのも可哀想だし、全てのゲームをやっても俺の身がもたない。

 半分くらいがちょうど良いのだ。


 何はともあれ、今回俺にゲームをさせる条件でジャンケンに持ち込めたのはかなり大きい。

 何せ妹は表情が豊かだ。考えてることが顔に出やすいので、ジャンケンで何を出すか容易に見抜いてやるぜ!


「ねぇねぇお兄ちゃん」

「どうした向日葵?」

「私ね、このジャンケンでグーしか出さないよ?」

「え、待ってそれじゃあ勝負にならな――」

「じゃーんけーんー」

「ちょまっ」

「ぽいっ!」


 俺の繰り出した右手は、まるでどこまでも広がる紙のように、めいいっぱい5本の指を、先の先までピンと伸ばし、広げていた。

 それに対して向日葵の出した左手は、人差し指と中指が天高く反り立ち、それ以外の指は固く握られている。それはさながら、この世の全ての紙を裁断するような鋭いハサミといったところだろう。

 これが後に伝わるパーとチョキの邂逅である。


「ふふん。お兄ちゃん、素直過ぎ~」

「な、なにっーーー!?」


 どうやら俺の脳は、向日葵の宣言に動揺して相手の言葉を鵜呑みにしてしまったらしい。

 これが世間で言うブラフってやつか…ふーん少しはやるじゃん。

 そして目前には、ドヤ顔をキメるご満悦な妹が佇んでいた。


「勝った!勝った!今夜はドン勝だ!」

「な……この俺が、負けた…だと!?」


 試合内容がどうであれ、俺も男だ。

 負けてしまったのなら仕方ない。 夏休みはまだまだこれからだ。

 前夜祭とでもいえるこの時間は、最愛の妹のために使ってあげようではないか。

 さて俺は、本日どんなゲームさせられるのかしら。

誤字脱字等あったら報告していただけると、作者は自分の言語能力の低さに嫌気をさしつつ訂正作業に入ります。それでもいいよーって方は是非。

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