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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
4章「いざ、キャンサー共和国」
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プロプス到着

 しずくからのサプライズプレゼントを受け取った翌日。私は朝食の準備を始めた。朝食はしずくへのお礼も兼ねて、アルヘナからもらったお米を釜を炊いている。釜で炊いたことにより、あたり一面に炊きたてご飯のいい匂いが漂い始めた頃、しずくが起きてきた。起きてきたしずくは、今日の朝ごはんに気づき目を輝かせながら聞いてきた。


「くーねぇ、おはよう。今日の朝ってご飯?」

「そうだよ、昨日のしずくからのプレゼントのお礼も兼ねてね。さぁそろそろ出来上がるから顔洗ってきちゃってね」

「は~い!!」


そうしずくを見送ったあと、ミラが私の顔をニヤニヤしながら見てきていたのに気づいた。


「なるほどね。そういうことだったの」

「へ?何が?」

「いや、起きてきてからどうも機嫌がいいなって思ってたのと今日の朝がめったに使わないお米だったからどうしたのかなって思ってた」

「昨日の夜にしずくとちょっとね。詳しくはしずくに聞いて」

「どうせ惚気になるだろうからいい」


 さっきのやりとりで、喧嘩とかじゃなくて聞いても惚気話が帰ってくるだけと判断したようで、詳しく聞いてこなかった。私は、ミラと話しながらもごはんを炊き上げ朝食の準備が整った。朝食の準備も終わったところで、しずくが顔を洗い終わり戻ってくる。


朝食も食べ終わり今日の移動を準備を開始する。移動中はしずくにもらったスノードームをしずくに預かってもらっている。何かあって壊したらひと月は引っ張りそうだったし。


「食休みも終わったしそろそろ移動しようか」

「そうだね。プロプスまであと半分だしゆっくり行こう」

「賛成。急いでいってもプロプスで1泊するのは変わらないんなら問題ないし」


 その結果、今日はゆっくりと移動することになった。ゆっくりとは言えど魔物との遭遇がなければ、そこまで時間がかかることがないので寄り道をしながら移動することにした。野宿していた場所周辺は、昨晩のうちにしずくとミラが見て回っているので、街道から外れすぎないように周囲を見て回る。その過程で、見つけた薬草や初めて見る草やきのこなどを適当に採集していく。その過程で、毒きのこの胞子を浴びてしまったりと色々トラブルがありはしたが、なんとか移動することができている。


 一番やばかったのは、酔いどれ茸というきのこの胞子をしずくが事故で浴びてしまった時だった。まぁ簡単に言うとクルートでした祝勝会の二の舞になってしまった。本来水で酔を覚ませるけど、その水を出せるのがしずくだから仕方なくラビィにお願いして、解毒してもらった。そんなトラブルもありつつなんとか夕方にプロプスに到着したのだった。


「あぁ、ひどい目にあった」

「ごめんね少しぐらい寄り道仕様って言ったばっかりに」

「大丈夫、これも経験」


 私の思いつきのせいで、お昼にはつくはずが丸一日かかってしまった。一日かかったこともあり、普段取ることのない毒草等を採取することができた。


「今日の反省はあとにしてギルドに行こうか」

「そうだね、反省も大事だけど色々やらないとね」


 私たちはまず、プロプスにあるギルドへ移動することにした。プロプスのギルドはそこまで大きくもなくギルド員も数人しかいかなった。


「こんにちは、カストルからの使いです」

「いらっしゃい、随分遅かったね。今日の午前中には来るかと思ってたんだけど」

「いやぁ、すみません。採取しながらだったから思った以上に時間かかっちゃって」

「まぁ、採取も冒険者の仕事のうちだから文句は言えないか」

「たしかに急いだほうが良かったですよね」

「まぁ、そうなんだけどね。でも特に言われてなかったのなら仕方ないよ」


 これで、一旦この話は終了となった。担当してくれたギルド員さんに、マルクスさんからの手紙を渡して、プロプスへの伝達は完了となった。その後はいつもどおり、魔物の討伐報告を行ったあと、シイルさんついて尋ねてみた。


「シイルかいちょっと待ってな。シイルあんたにお客さんだよ」

「はーい、どなた?」

「こんばんは、カストルのメルラさんからのお届けものです」

「メルラから?」

「結婚祝いということでこれ預かってきました」


 しずくがシイルさんへ、スノードームの入った箱を渡した。それを受け取ったシイルさんは少し困った顔をしながらお礼を言ってくれた。


「ありがとう、でもあんまりこういった形で依頼受けたらダメよ」

「はい、気をつけます」

「それじゃクリア実績つけとくわね」


 シイルさんから指摘を受けた。その指摘は最もなので、私たちは素直に謝ることにした。これによってプロプスでやることはひと段落した。


「シイルさん、ここら辺でおすすめの宿やってありますか?」

「そうね、双子の木漏れ日亭なんてどうかな。ご飯も美味しいしふたご島内の系列店だから安全よ」

「よし、今日はそこにしよう」


 これで今日の宿屋が決まった。後は、しずくの持っているキラーベアの解体をしてもらう必要がある。正直、熊の解体なんてしたことないし。ということで、ギルドの次は魔物の買取所へ行きキラーベアの解体をお願いした。


「これはまた大物だな。少し待ってな解体してきてやる。爪とかの素材はどうする?」

「いらないので買い取ってもらえますか?」

「よし、それなら買取分を差し引いて小銀貨1枚だな」


 私は、キラーベアの解体と爪などの素材を売り払ったあと、しずくたちの待つ魔物の買取所備え付けの食堂へ移動した。夕方ということもあり何人かの冒険者が素材を売り払いに来ていた。私たちもこのタイミングで途中に採取した素材も売り払うと収益としては黒字になった。

食堂で待っていると、キラーベアの解体が終わりしずくと一緒に受け取りに行く。受け取った後は、宿屋へ移動することにした。


「今晩は、3人ですけど空いてますか?」

「空いてるよ。それじゃ手続きするね。記帳するから一人でいいから名前書いて頂戴」

「はい、それとできればでいいんですけど熊肉を使ったレシピって教えてくれませんか?」

「ごめんね、熊肉なんて滅多に使わないでないんだよ」

「そうなんですか。なら試行錯誤するしかないんですね」

「ここら辺だとあまりに熊肉なんて取れないからね」

「まぁ、そうですよね」

「夕飯はどうするんだい?熊肉試すんなら食材さえ提供してくれれば何か作ってあげれるよ」


 その言葉を聞いてしずくのほうを見てみると、首をふるふる横に振っていたので、その申し入れは断り普通に夕飯を用意してもらうことにした。夕飯は、私たちは兎肉の香草焼きを頼みラビィは野菜の盛り合わせを頼むことにした。


「さて、今日の反省だけどまず、くるみは色々と毒撒き散らせ過ぎ。もっと足元とかにも気をつけてね」

「面目ない」

「しずくはまぁ仕方ないか酔いどれ茸の影響だったし」


 その後は、特に致命的な反省点もなく反省会は終了となった。夜は、特に問題が起こることもなく過ぎていく。翌日も移動があるということもあってしずくは大人しく寝てくれたのだった。

ミラが一緒だったからというだけの理由だけで助かったとは思いたくはないけど。

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