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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
4章「いざ、キャンサー共和国」
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ワサトへ向けて

 カストルへ到着した翌日。私たちはメイルさんと話し込んでいた。その原因は、とあるクエストを受けるかどうかという話しだった。そのクエストというのは、ワサトに行く途中にあるギルドへ、キャンサー共和国の情報を届けるというもの。

なんでも、カストルへの情報はギルドのネットワークで共有されるが、そこから先は各首都にある支部から情報が分散されるという。


「道中なので問題ないですけど、そういうのって普通もう伝えられてるんじゃないんですか?」

「それが、ちゃんと伝わっていないの。そして厄介なことに原因不明なのよ」

「原因が不明っていうのはかなり気になる」

「確かにそうだよね。ところでこれの報酬って聞いてもいい」

「いいわよ。マルクスさんから「報酬をこれにすればまず受けてくれるだろう」って言ってたからこれにするわね」


 その発言にとても嫌な予感をしつつ報酬を確認してみると、予想通りというかちゃっかりしているというか、この依頼の報酬はキャンサー共和国への紹介状だった。これによってこのクエストを受ける必要が出てきた。


「ごめんね、断りづらい報酬で。あのタヌキには後でこってり絞っておくから」

「お手柔らかにしてあげてください」


 確かに騙された感はあるが、向こうも仕事として出しているのだしこっちもあまり文句を言うこともできない。なのでそういうことしかできなかった。でも、仕事は仕事、伝える必要のある街を聞くことにしたのだった。


「皆さんに伝えて欲しい街は、港であるワサトとその道中にあるメブスタとプロプスの計3都市になります。それとこちらを渡しておきます。報酬は事前に渡しておいていいとのことですので」

「確かに受け取りました。でもこのあとワサトへ直行してもわかりませんよね?」

「まぁたしかにそうですが、ギルドのネットワークを甘く見ないほうがいいですよ。それとわざわざそう聞いてくる人はそういう事はしないと信じていますよ」


 そこまで言われると無碍にしづらい。それに、あくまで聞いてみただけということもあってそういったずるはする気もなかった。


「それでは、お願いしますね。ついでにほかのクエストも受けていきますか?」

「そうだね、どうする?」

「それじゃ、一般的なクエストだけ受けていこうか」


 その結果、港街までの街に情報を届ける依頼の他、常設の討伐依頼を受けてからカストルを出立することになった。


 カストルを出る前に地図を確認したところ、カストルに近いところからプロプス、メブスタ、ワサトの順にまわることになった。しかも面倒なことにカストルからワサトまで直行できる道もあるが、プロプスとかに行く場合大回りとなってしまう。そこはもう仕方ないと割り切って行くしかないのでのんびり旅を満喫しよう。


「それにしても珍しい依頼だね、こういうことってギルドの小間使いの人がやっているはずなんだけど」

「そうなんだ、でもそういった仕事をマルクスさんもやってたというのは?」

「それはただあの人の性格じゃないかな。メイルさんも困らされてるっぽいし」

「なるほど、でもこっちの方の街に情報が届いてないのって、やっぱりあの魔族と関係あるのかね」

「否定はできないね」


 そんなことを話しながらプロプスを目指し移動していた。その道中で、ハウンドなどの常設の討伐依頼の対象を討伐しつつ移動していく。さっきの話に、出ていた各ギルドへの伝達の他に普段受けることのない形で、クエストをひとつ受けている。そのクエストを受けたのはギルドではなかった。



それはカストルを出る直前のことだった。


「よし、これで準備も整ったかな」


 私たちは、順番に店を回りつつ食料や消耗品を揃えていく。そんな時、最後に立ち寄った雑貨屋さんの主メルラさんがお願い事をして来たのだった。


「くるみちゃん。ちょっといいかい」

「いいですよ、どうかしたんですか?」

「くるみちゃんたちプロプスの方に行くんでしょ」

「そうですけど、なんで知ってるんですか?私たちもついさっきその話聞いたのに」

「実はね、昨日くるみちゃんたちが寝たあとに、マルクスがいいこと思いついたって言ってね」

「あぁ、それでわかりました」


 私は、その説明で全て理解した。そしてお願いしたいことを聞いてみると、プロプスにいる友人のシイルさんという人に荷物を届けて欲しいというお願いだった。なんでも、結婚記念品ということのようで、教会を中央においたスノードームのようだった。それを箱に入れてから渡してくれた。


「報酬はこれをプロプスのギルドに渡してくれれば、受け取れるように後で対応しておくからね」

「わかりました、しずくこれ収納しておいて」

「は~い」


 私は、しずくに箱を渡してから雑貨屋をあとにした。その後は、何事もなくカストルをあとにした。


 これが、今回うけた珍しい依頼のもう一つである。依頼というのは、基本的にはギルドを通してから受発注するもので、ギルドを経由しないもしくは今回のように依頼を受けて後からギルドを経由する場合は、受けた冒険者の自己責任となる。そして、依頼の成功と失敗も通常通りカウントされるので、こういった形で受けることは推奨されていない。

特に、今回のような運搬系のクエストはまだしも討伐系だと、魔物の強さや規模など事前情報が依頼をした人の知識を頼ったものとなってしまう。そのため、極端な話で言うと害獣駆除が実は、劣竜の討伐だったなんていう可能性もある。そういった、誤りがあってもギルドを通さなかった冒険者の責任となってしまうので、原則としてギルドを通さない依頼を受けないことが習わしとなっていた。

 事実私たちもミントさんやギルド登録したジェニ村で、ギルドの説明を受けた際にこのことも聞いていた。

 そのため、内容次第では正式にギルドを通そうかと思っていたが、今回は友人への荷物の配達であり、街の移動はそうないだろうと考え相手の特徴を詳しく聞いたあとに、事後受注という形をとることにしたのだった。

シイルさんはメルらさんと同い年で30代前半ぐらいで、ギルドに勤めているとのことだった。そのため、そこまで苦労せず会えるだろうというはなしだ。それならちょうど、情報連携のためにギルドへ行くついでに渡せるだろうということで、私たちに荷物を届けてくれないか聞いてきたというわけだった。


「ちょっと買い物忘れたのあるからちょっと待ってて」


 しずくは、雑貨屋を出たあと買い忘れたものがあると言って、雑貨屋に戻っていった。そんなしずくに、私もついていこうかと聞いたところ時間かからないから問題ないと断られた。断られたことに少しショックを受けているつ詰まっていると、5分もしないうちにしずくが店から出てくる。しずくの手にはなにも持っていないので、既にシャドウガレージに買ったものを入れたあとのようだった。しずくが戻ってきたのを確認したミラとしずくが私を引っ張ってカストルを出発したのだった。

 さすがに街を出てからもしずくに拒絶(?)されたことを、引っ張っていては危険性が高いので、一度頬を叩き気合を入れ直して移動を開始したのであった。


 実際この時、しずくの買ったものが気になってはいたが、そのうち教えてくれるだろうと思って、極力気にしないっことにした。

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