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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
4章「いざ、キャンサー共和国」
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マルクスさんの正体

 マルクスさんの護衛任務でカストルについた私たちは、その足でギルドへ行くことにした。ギルドに到着した私たちは受付へ行き今回の任務の報告を行う。


「こんにちは、依頼の報告に来ました」

「あら、君たちは以前ミントさんときた娘たちね」

「覚えてくれてたんですか?」

「えぇ、もちろんよ。あのミントさんのお弟子さんなんだから。それとギルマス、遊んでないで仕事してください」

『えっ!?』

「いやぁ、メイルさん人違いではないでしょうか」

「ふざけるのはやめてください正直気持ち悪いです」


 その言葉を聞いたマルクスさんは顔を少し歪めた。それを見た時点で、メイルさんの言っていることが本当であることがなんとなく理解できた。一方マルクスさんもさすがに気持ち悪いに堪えたのか素直に正体を表してくれた。


「しょうがないな、改めまして私はこの冒険者ギルドカストル支部の支部長マルクスです。君たちに少し興味があったので今回の形をとりました」

「どうも」


 私たちはすこし唖然としながら返事をしたが、メイルさんはなんか言いたそうにしている。その様子を見てみると本来の目的は別だのではと疑ってしまうのはダメなのだろうか。


「しずくさんたちはこちらへ、カール様とミール様の依頼の件もあるでしょうし」

「護衛任務は?」

「大丈夫、こっちでついでに処理しておくので」


 マルクスさんにそう言われ、ギルドの奥にあるギルド長室へと移動した。ギルド長室はポルックスで見た作りとほぼ同じとなっており執務がメインとなっている。そんな中私たちは長椅子に座るように促され長椅子に腰を下ろす。マルクスさんは私たちの正面の一人がけの椅子に腰掛け話が開始となる。


「まず、護衛任務から行きましょうか」

『はい』

「初めに、あなた達の戦闘力や索敵は予想以上のものでした。それとくるみさんの料理も美味しかったです。ですが戦闘力が高い事によって少し慢心があるように見えました。その他にも緊急時の連絡手段や連絡の順番など、いくつか改善が必要だと思います。とくに何か決める際は必ず護衛対象に了解を取るようにしてください」

「わかりました。今後の教訓にします」


 マルクスさんからの指摘に対し私が代表して答えた。これによって、護衛任務の件は終了した。次は、今回のメインの話となるカール達からの試練の話となった。とは言っても試練の話は私たちの実力も知っていることもありすんなりと済み、手続きを進めていくことになった。


「さて、前もっての話はこれで終わりです。一番の問題は魔族でしょうね。以前もあったことのあるような口ぶりでしたが、その時のことを詳しく聞いてもいいですか?」

「わかりました・・・・・」


 私は、ゴブリンの巣の討伐作戦のときの話をマルクスさんに話すことにした。それを聞いたマルクスさんは考えている時のように顎をさすりながら何かを考え、手元にあったベルを鳴らした。


「マルクスさんお呼びですか?」

「あぁ、ふたご島のギルド全てに魔族侵入の連絡をしてくれ。それと彼女たちのランクをDまで引き上げる処理を頼む」

「わかりました。ではくるみさんたちのギルドカード預かりますね」


 私たちはギルドカードをメイルさんに預けたあと、ギルド長室をあとにしようとしたのだが、そこでギルド長からひとつ戦闘訓練の提案を受けた。私たちはその提案を受けると、そそのままギルドにある修練場へと移動する。修練場は夕方の時間ということもあり、すいており問題なく使うことができた。マルクスさんは置いてある模造剣を使っている。


「さぁ、どこからでもかかってきてください」

「じゃぁ、遠慮なく行かせてもらうよ」


 マルクスさんの言にしずくが答えそのまま駆けていく。そのまま積水と刀を持ち出しマルクスさんへ正面から斬りかかった。


「正面からだけでは意味ないですよ。それにいくら神器といえどその程度の魔力密度なら防ぐことも簡単です」


 しずくの攻撃を正面から難なく受け取め、マルクスさんはそう助言を行ってきてくれた。だが、当のしずくは顔に満面の笑をを作ってるのかしきりに攻撃を続けていく。そんな中マルクスさんは、涼しい顔で攻撃を捌き続ける。しずくは埒があかないと判断したのか一旦戻ってきた。


「しずくさんの攻撃のセンスはなかなかのものですが攻撃が単調すぎますね。ではこれはどう防ぎますか?【ショック】」

「くふっ!」


 マルクスさんがショックと唱えると、私のお腹に衝撃が入り息が漏れる。それをみたしずくが驚いた顔をしているが実際のところは純粋な魔力弾を放っただけだった。


 ショックは無属性であり、属性色のついていない純粋な魔力となるので、魔力視でもなかなか見ることができない魔法となる。そのため、防ぐのも躱すのもとても困難となるのがこの魔法となる。メリットだけではないのが、この世界でありデメリットとしては、無属性は基本属性ではないので取得できる人が極端に少なく、魔力をそのまま放出するため魔力消費量がとても激しいこととなる。


だがそんな無属性のショックをマルクスさんは容赦なく連発してきている。私とミラは躱すのを諦め、セイントシールドを使い攻撃を防ぎ続ける。しずくは、直感で剣を振りつつもショックを防げているのは半分も満たないようだ。そんな中しずくが無理やりにでも距離を縮めようとしている。だがマルクスさんはそれを許さず次なる一手を打つ。


「ダメージが少ないからといって無理をするのは良くないですね【ペイントショット】からの【マーキングガン】」

「痛っ!」


 マルクスさんの放ったペイントショットがしずくの頬を掠め、そのあとに使ったマーキングガンがペイントショットが当たった場所を寸分違わず通過した。


「このマーキングガンは使いやすい魔法でしてね、ペイントショットが当たった場所に基本てきには必ず当たるんですよ」


 マルクスさんが満面の笑で説明してくれた。説明を聞いた私は、あの魔法の危険性を正しく理解する。簡単に言うと致命傷となる部分に、ペイントされると次のマーキングガンで視認困難な致命的な攻撃を受けることになってしまうということだ。そのため、私はしずくにもセイントシールドを使い攻撃を受けないようにする。だがそれを待っていたのか、マルクスさんは次なる一手を撃ってきた。


「【ディスペル】」

「!?」


 マルクスさんの使ったディスペルの魔法で、3人に使っていたセイントシールドが破壊されてしまった。それを確認したマルクスさんは満足そうに言葉を紡ぐ。


「さぁ、次はミラさんの番ですよ。くるみさんとしずくさんも援助や攻撃は全力でし続けていいですからね」

「【シャドウウォーク】」


 しずくは、シャドウウォークを使いマルクスさんの裏へまわり刀を振るった。しかもそこで使ったのがダークブレードの解除からの不意打ちとなる。だが、マルクスさんはそんなしずくからの攻撃を気にせずに、ショックでミラの矢を撃ち落としていく。その後、うしろから斬りかかってくるしずくへの対処は一切せずにいると、しずくのダークブレードがとまった。動きがとまったしずくのお腹へ蹴りを入れてからミラへ攻撃を再開する。


「しずく!!【ソーラーウィップ】」

「その攻撃は見たので対処は簡単ですよ。それに基本は先ほどの盾と同じように付与系。なのでディスペルで強制解除は可能です。だけど、それだけではあなた達の修練になりませんので、今度はこちらで行きましょう【ミラー】」


 マルクスさんは新しく唱えたミラーによって、ソーラーウィップの形状が固定できなくなってしまったので仕方なく解除することにした。


 そのまま夜中までマルクスさんと修練をしていたが、一度もマルクスさんへ攻撃を当てることができなかった。


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