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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
4章「いざ、キャンサー共和国」
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カストル到着

 3日目の朝。私は重たい瞼をなんとか開くことができた。昨晩の軽いホラー体験の関係で寝付くのが遅くなってしまったのが原因だった。それでも今は護衛任務の途中のため、寝坊するわけにはいかないので眠たい体に鞭打って体を起こすことにした。


「ふわぁ~。しずく、ミラちゃんおはよう」

「おはようくるみ。昨晩大丈夫だった?」

「うん、大丈夫。だけど寝不足かな。昨日の夜はびっくりしただけだから」

「おばちゃんが昨日の夜包丁研いでて、それを見たくーねぇが驚いただけだから」

「なるほどね」


 私たちは話しながらも着替えを完了させてから居間へ移動した。居間に行くと既におばちゃんが料理を並べ始めていたのでちょうど良かったぐらいだろう。


「すみません。こんなに朝早くから準備してもらって」

「いんや気にしなくていいよ。ここに訪れる者たちなんて多くは護衛任務をている冒険者なんだし。こんな時間に起きるのは問題ないよ。それに昨晩はごめんね驚かせちゃったみたいで」

「それならいんですけど。それと昨晩は私も取り乱してすみません」


 私はおばちゃんに謝罪等してから朝食をいただくことにした。朝食は、昨日の夜私が食いついたことによって大丈夫と判断したのか醤油ベースのスープだった。私としずくは久しぶりの醤油に満足していたが、ミラは醤油によって普段と色の違うスープに若干尻込みしつつも、恐る恐る一口だけ口に含んでいる。


「初めての味だけど美味しい」

「口にあってよかったよ。くるみちゃんは欲しがったぐらいだから大丈夫としてしずくちゃんは口にあったかい?」

「大丈夫、ぼくはくーねぇと同郷だから問題ないよ」

「それはよかったよ」


 おばちゃんが私たちの口に合うかどうか確認してくれる。その気遣いにありがたいなと思いつつも朝食は進んでいった。


「一晩お世話になりました」

「また機会があったら来なさい」

「はい!」


私が代表しておばちゃんに礼を言って宿代を払ってから村の入口へと向かっていく。宿代は当初、醤油を買ったこともあり払ってもらわなくてもいいと言っていたが、それとは話が別といいしっかり支払っている。


「みなさん、おはようございいます」

『おはようございます』

「昨晩はよく眠れましたか?」

「まぁ、それなりにですかね」


 村の出口に到着すると、そこには既にマルクスさんがおり、馬の面倒を見ていた。だけどマルクスさんは、私たちに気づいたのか振り返り挨拶をしてくれたので、私たちも返事を返す。挨拶をしたあとは、昨晩のことと今日の予定を確認してから村を出ることになった。


 村を出てからは、順調に進みローテーションで御者台にミラ、馬車の左側に私、右側にしずく、後ろはラビィという陣形で村を出る。移動開始前に確認した今日の予定としては2日間より気持ち早い速度で移動し、昨日の遅れを取り戻しつつカストルを目指すというものである。

 普段より速い速度ということもあり、歩いてついていく私たちは結構大変な感じだが木魔法を応用することで、なんとか追いつくことができている。そのうち何度か勢い余って馬車を少し抜かしてしまったので時間を見つけて練習が必要である。

 一人で反省していると、走って馬車を追いかけていたしずくが何かに気づいたのか反応を示した。


「ん?」

「しずく、どうかしたの?」

「う~ん、昨日もいったけどやっぱり誰かに見られてるんだよね」

「感じる方向に視線を向けずにどこかわかる?」

「一応ね。でも護衛中だからヤブヘビつつきたくないかな」

「そうだね。・・・っとそれとは別にお客さんぽい」


 私としずくで話していると、ミラが弓を持ち出し空を警戒し始めていた。私は遠視を使い空を確認してみると、上空で旋回している鳥が3羽見つけることができた。ミラの様子を見てみると、あの鳥は魔物のようでこちらを狙っているようだ。鳥たちは、こちらが森の中であっても私たちのことを見逃すことはなさそうで、徐々に高度を下げて来ている。だが、ある程度の高さで降りてこなくなった。


「ミラ、あいつらは?」

「遠くて確証はもてないけどイグルっていう魔物」

「飛んでるっていうことはぼくはやりにくい相手だな」

「それは私もかな。まぁあそこまで高いとしばらく放置っていうことでいいの?」

「うん、それでいい。私の矢もあの高さは当たらないから。だけど警戒は怠らないでね」


 ミラと相談してから上空から襲撃の警戒しつつ森の中を移動していく。森の中にいる間はこれといった変化はなかった。だが自体が急変したのはカストルも目前に迫った草原についてからだった。


「そうだったんだ、君がぼくたちのことを監視してたんだね。なんで監視なんてしてたのかな?」


森を出てすぐにしずくが馬車の前に出て、いつの間にかにいたモノクルをした少年に問いかけた。しずくの問に対し少年は質問を質問で返してきた。


「そんなことはどうでもいいでしょ。それよりうちらの家出姫知らないかな」

「お姫様なんて知らないよ。それより質問に答えてほしいな」


 しずくは少し苛立ちながらも少年に再度聞いている。それで少年も観念したのか答えてくれた。なんでも盗賊の手段として、行商人と護衛に扮して一般人を襲うこともあるようで、その可能性を警戒していたとのことだった。そのあとも家出姫について聞いてみると、なんでも自分の思ったとおりに行かなくて、半ばやけくそ気味にお城を飛び出したようで、臣下のひとりである彼が探し回っているとのことだった。

 その説明を受けたミラが疑問に思い口をはさもうとしたところで少年は指を鳴らした。指の音に併せ、私たちの上空を旋回していたイグル私たちに向け急降下してくる。急降下してくるイグルに気を取られているあいだに、モノクルの少年は姿を消していた。


「彼は一体なにものだったのでしょうか」

「ある程度見当付いたから後で説明する。それよりイグルを始末しないと」


 マルクスさんの疑問を後回しにし、ミラは弓に矢を番え急降下してくるイグルに向け矢を放った。放った矢は1羽のイグルの目を居抜き脳へと到達したようで、そのまま息絶える。だがあと2匹のイグルはそれぞれ馬めがけ効果してくる。


「そうはいかないよ」

「そうだね。しずく、1羽はさっさと倒しちゃって。もう一匹は防いでるから【セイントシールド】」


 しずくが気合を入れ、馬とイグルのあいだに割り込み刀でイグルの嘴を受け止めてみせた。一方私は、セイントシールドを使いイグルを受け止める。これによってイグルからの襲撃は終わり私たちは難なくイグルを討伐することができた。


「ふ~、空飛んでるのって倒しにくい」

「でもなんとかなったね」


 私たちは、空を飛んでいる魔物を相手にするのが初めてということだけで少し苦戦したが、問題なく倒すことができた。無事にイグルを討伐し終えた私たちは、さっきマルクスさんから受けた質問の答えをミラから聞いている。


「多分さっきの人は魔族だと思う。現在魔国の女帝は旅に出ているっていう話も聞いたことあるし」

「そうですか。(とうとうここにも魔族が来るように)」

「それに以前会った魔族の子も同じ理由できていたのかも」

(なんと、二人も魔族が入り込んでいるとは)


私たちの話を聞きながら、マルクスさんは熟考しているようで。そんなマルクスさんに声をかけると気がついたのか、笑顔で「カストルまでもう少しですので行ってしまいましょう」と告げてから馬車を再度出発することになった。


 それ以降は特に魔物の襲撃なども受けることなく、途中急いだこともあり、夕方にカストルに到着した。

この日のカストルの門番さんはアークさんだった。アークさんはこちらが護衛任務中と気づいたようで軽く会釈をしてからカストルへ入ることになった。

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