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双子姉妹の異世界旅行  作者: ライ
4章「いざ、キャンサー共和国」
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村の夜

 村の宿泊所に泊まることになった私たちは、夕飯をいただくことにした。夕飯は、今朝取れたのか各種野菜のスープとパンだった。この場に、マルクスさんがいないのでおばちゃんに聞いてみた。


「私たちと一緒に来たマルクスさんってこちらにいるんですか?」

「マルクスさんなら、この街に来た時は兵舎で寝てるわよ。なんでもここの守兵さんに、知り合いがいるとかで」

「なるほど、マルクスさんは兵舎にいるんだ」

「まぁ、緊急時用に場所知っておく程度でいいんじゃないかな」


 ミラたちが各々に賛同したことによって、この話は終りとなった。そのあとは楽しく談笑しながら夕食を終えた。夕食の時に、この村について聞いてみたところ、この村はミニの村というとても小さい村のようだ。そして訪れる人も今回の私たちのような、何かトラブルあった際に泊まる人がいるかなという程度だったらしい。


「くるみちゃんたちお風呂沸いてるから入ってきな」

「本当ですか?」

「驚いているようだけどどうかしたのかい?」

「ここに来る前に守兵さんに聞いたら、設備はあてにならないって聞いてたから」

「あら、そうなのかい?まったく、仕方ないね」


 おばちゃんが名前も知らない守兵さんに、文句を言いながら脱衣所と風呂場へ案内してくれた。そこで私としずくが服を脱ぎお風呂に入ることにした。


「おぉ、狭い」

「しずく、泊めてもらってるのにそれ言ったらダメ」

「は~い、くーねぇ座って。今日は私から洗ってあげる」

「ありがとうしずく。変なことしたらダメだよ」

「・・・・・うん。大丈夫だよ」

「その間はなにかな~」


 私はしずくのほっぺたをうにうにしながらしずくを問いただしたがしずくは気にした風もなく「はんへもはいよ~」と答えてからスポンジに石鹸を付けて泡立たてていく。しずくは泡立てたスポンジを使って上から順番に石鹸で洗ってくれる。そんなしずくの手が胸に近づいたところでしずくがぼそっと呟いた。


「くーねぇのおっぱい大きくていいなぁ」

「そうかな、私はしずくのように小さいほうがいいな。肩こるし」

「そういうものなのかな」

「そういうものだよ~」


 しずくがいまいち納得できていないようだけど、こればかりはないものねだりとなるので仕方ない。まぁ、しずくはこれから成長する可能性があるんだけど。そうしていると、一通り体を洗い終わったようで、しずくが魔法で出したお湯で石鹸を流してくれた。その後、頭を洗ってくれた。髪を洗い終わったら次は私の番で、しずくの体を洗ってあげることにした。しずくを洗い終わると一緒に浴槽に浸かり疲れをとる。


「しずく、この浴槽ふたりで入れるかな」

「くっつけば大丈夫だよ」

「じゃっ、そういうことで」


 私の前にしずくが座る形で、お風呂に入ることができた。浴槽に入ると、しずくは足を曲げて頭の位置を下げる。もぞもぞと動いたことによってちょっとこしょばい。


「しずく、どうしたの?」

「ふかふか~」

「もう、寝ないようにしなよ」


 しずくが私の胸を枕にして、満面の笑を浮かべている。そんなしずくの頭を撫でてあげると少しづつ目がトロンとなってきた。そんなしずくの様子を見ていると

(このままだと寝そうだな)

と思ったので、しずくの肩を叩いてからしずくと一緒に浴室から外に出ることにした。浴室から出るとしずくが着替えを出してくれたので、着替えてから夕飯を頂いた部屋へと移動する。


「くるみ、しずくおかえり」

「「ただいま」ミラも入ってくるといいよ。スポンジとかは中においてきてるから」

「分かった。しずく、着替え頂戴」

「はい」


 しずくがミラの着替えを渡したあと、ミラは浴室のある部屋へと行ってしまった。残された私としずくは、おばちゃんに色々と聞いてみることにした。


「ここって、特産物とかってないんですか?」

「特産物かい、そうだね。基本村の中だけで消費しているからそういったものはないね」

「そうなんですか。それなら、普段調味料見せてもらっていいですか?」

「そんなものでいいならいいよ」


 私はおばちゃんが使っている調味料を見せてもらうことにした。しずくは、私達のあとを歩いてくる。


「おばちゃん。この付近に魔物ってでないの」

「魔物はほとんどでないね。出るとしてもホーンラビットぐらいかね。ほらここら辺が普段使ってる調味料だよ」

「やっぱりその程度なんだ。どこかに強い魔物いないのかな」

「しずく、強い魔物にあわないに越したことはないよ」


 私は、おばちゃんに見せてもらった調味料を見ながらしずくに釘を差した。おばちゃんの使っている調味料を見てみると砂糖や塩が少しある程度で、珍しいものがなかったがひとつだけ気になるものがあった。


「おばちゃんこれどこで買ったの?」

「ん?あぁこれかい。これは醤油と言って大豆から作った調味料だよ」

「これ、どこで買ったの?」

「おやおや、くるみちゃんはいきなりだね。これはこの村で作ってるんだよ」

「売ってください」


 私は、おばちゃんに醤油について聞くことにした。なんでもここでは醤油を作っておりそれを村の中だけで消費しているようだった。

 おばちゃんに売ってくれと言うと、快く了承してくれた。了承してくれたあと台所にある戸棚から瓶に入った醤油を出してくれた。


「いくらですか?」

「いくらぐらいになるんだろうね」

「それじゃぁこのぐらいで」


 そう言って私は、大銀貨1枚取り出しておばちゃんに渡した。それを見ておばちゃんはびっくりしていたが、ここステラシオンに飛ばされてから醤油とはご無沙汰だったのでここで会えたのはとっても僥倖だった。

そうしているとミラもお風呂から上がったのかミラが台所にやってくる。


「それじゃ明日も早いしそろそろ寝ようか」

「そうかいそれなら寝床はこっちだよ」


 おばちゃんに案内されて寝室へと移動した。寝室には既に布団が敷かれており、私たちは就寝することにした。



夜中。深夜を少し回った頃、私はふと目を覚ました。目を覚ますと台所の方からしゃかっしゃかっと音が聞こえてくる。その音を聞いた私は、山姥の話を思い出した。それによって、背筋がゾクッとした。


「しずく、起きてる~」

「す~す~。むにゃむにゃ」


 しずくはすっかり眠りに落ちているので、仕方なく自分だけで見にいく。台所に到着するとそこには笑顔で包丁を研いでいるおばちゃんが目に入った


「ひっ!!」

「誰だい?」


 私は腰を抜かしてしまい、後ろに後ずさってしまう。だが、屋内なので壁も近く後ずさることがもうできない。そうしていると、包丁を持ったおばちゃんが台所から出てくるところだった。


「きゃぁぁぁーーー」

「くーねぇ大丈夫?」


 私の悲鳴を聞きつけたのか、しずくが私のもとに駆けつけてくれた。その手には積水を持っており臨戦態勢を整えている。屋内ということもあり、短刀サイズの積水を持ち出したようだ。


「おや、くるみちゃんにしずくちゃんどうしたんだい?」

「おばちゃんは何してたの?」

「今日の夕飯作るときに包丁の切れ味が落ちてたから研いでただけだよ」

「じゃぁ、なんで包丁持って出てきたの?」

「それは、不審者かと思って自衛のためだね」

「何だ。そうだったんだ」

「く-ねぇ大丈夫だよ。包丁研いでただけだって」


しずくの腕にしがみついてた私の背中を撫でてしずくが私のことを落ち着かせてくれた。


「それじゃぁ、ぼくたちは寝室に戻ります」

「そうかい、おやすみ」

「おやすみなさい」


 しずくがおばちゃんに挨拶をしたあと寝室へと戻っていく。その夜は、しずくに抱きついて眠ることによってなんとか最低限の睡眠をとることができた。

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